◆初昇格13例のうち5例は1年でJ2逆戻り
J1の町田が初昇格チームとしては史上初の首位で前半戦を終えた。上々の12勝3分け4敗。堅守速攻を強みに、J1では主流でなかったロングスローも駆使するそつのない戦いで、連敗が一度もない。守備意識の高さが快進撃を支えている。 J1下位とJ2上位の入れ替え制が導入された1999年以降、初昇格は町田を除いて13例ある。そのうち5例が1年で逆戻りしたように、数々のチームがJ1で苦戦してきた。2000年に初挑戦した川崎は最下位に終わって1年で降格。当時、選手として在籍していた鬼木監督は「自分たちのサッカーへの手応えを得られるかどうかが昇格して戦う上で非常に大事」と指摘する。 昨季のJ2優勝で昇格した町田は、オフに積極的な戦力補強をして元日本代表のDF昌子らを獲得。負けた次の試合を完勝するなど逆境で勝負強さがあり、開幕から首位争いを続けている。◆今季初の逆転勝ちで「よし、いける」
黒田監督が前半戦のポイントに挙げたのは6月15日の横浜M戦。直前にあった天皇杯で主力4人が長期離脱を含む大けがを負って格下の筑波大に敗れていた。逆風が吹き荒れる中で今季初の逆転勝ちとチームが成長をみせ、「選手みんなが『よし、いける』と確信できた」と振り返る。 守備意識の高さは数値が裏付ける。Jリーグの公認データによると、5月末時点で、主に攻撃を担う選手が守備のために戻る「プレスバック」の回数は1試合平均で72.8回と福岡に次ぐ2位。全員が献身的に守備をする姿勢がリーグ3位(21日時点)の失点の少なさにつながっている。 プレスバック回数がチーム最多のFW平河は「サイドを突破されないように味方をヘルプして2対1の状況をつくる意識がかなりある」と明かす。アシスト数4は21日時点でリーグ4位タイ。得点に絡んでFWの役目を果たしながら、守備でも走り回る。浦和戦で相手と競り合う町田・平河=5月26日、埼玉スタジアムで(©FCMZ)
26日からの後半戦は対戦2巡目で相手チームからの対策も進む。パリ五輪期間中はともにU-23(23歳以下)日本代表の平河やチームトップの7得点のFW藤尾が抜ける可能性がある。町田が強みとするハードワークを夏場に維持できるかも鍵になる。(加藤健太)◆福岡の5バックを攻略できず、悔しいドロー
ゴールを何とかこじ開けようとした形跡が町田のパス本数に表れていた。成功したものだけで323本。手数をかけずに攻撃する町田にとっては今季2番目の多さだった。ホームで無得点に終わったのは10試合目で初。それくらい福岡自慢の守備は堅かった。 自陣からのロングボールの的になる前線の長身選手がこの日もけがで不在。仕方なく細かく足元につないだり、低い球を縦に鋭く蹴り込んだりと、中央もサイドもくまなく使って突破口を探し続けた。 DFを5人並べて進入を防ぐ福岡の5バックを最後まで攻略できず、悔しさが残るドロー。攻守の要のMF仙頭は「本当に堅かった。優勝争いをするには1点を取りきる力がいる」。ここぞの決定力を首位で迎える後半戦の課題に挙げた。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。