23日の宝塚記念は、18年ぶりに京都競馬場で行われる。これまで開催してきた阪神競馬場の改修工事のためだ。いつもの「阪神」ではないことを考えると、京都競馬場での実績がある馬にとっては千載一遇のチャンスという見方ができる。
京都競馬場で2戦2勝はプラダリアだ。勝ったレースは京都大賞典と京都記念で、どちらもGⅡ。レースの格を考えると、出走メンバーで最も京都を得意としている馬だろう。しかも、父ディープインパクトが勝った宝塚記念が18年前の京都開催だった。血統的な背景も含めると、勝てばドラマになりやすい。ただ、ディープインパクト産駒ということなら、GⅠを勝っているジャスティンパレスも黙っていない。1戦1勝なので勝利数ではプラダリアに負けているが、昨年の春の天皇賞を制しており、レースでの格は間違いなく上だ。
この宝塚記念が「京都実績のあるディープ産駒」ならこの2頭で決まるかもしれない。ただ、2006年の宝塚記念を勝ったのが「ファン投票1位で武豊騎手が騎乗」というところにこだわるなら、ドウデュースになる。昨秋は天皇賞、ジャパンカップで馬券圏外に終わった。気持ちの高ぶりをうまくコントロールできなかったことが原因だと思っていい。勝った昨年の有馬記念の時は調教時に落ち着きのある走りを見せていて、これが良い結果につながったと思っていた。
そして、5歳になった今回。有馬記念の時よりもさらに落ち着きが出た印象を受ける。一つ年をとって、落ち着くことが良いのかという疑問を持つ方もいるだろうが、分かりやすい言葉を使うなら「円熟味を増した」といったところ。無駄な力を使うことなく、一瞬で勝ち負けを決めてしまうイメージだ。
ちなみにプラダリアには昨年の京都記念で、0・6秒差で勝利した。この時は57キロのプラダリアの方がドウデュースより1キロ軽かったので、両馬とも58キロで同斤量の今回はその差がさらに大きくなる可能性もある。ドウデュースはジャスティンパレスにも有馬記念で0・3秒差の完勝。未対戦組も含め、能力と実績で最上位の評価は間違いない。
あとは雨。こればかりはやってみないと分からないが、19位に終わった凱旋門賞は「走らせるのが可哀想な重たい馬場」(友道調教師)だったようなので、参考外と判断したい。(競馬ライター)
いうち・としあき
1976年生まれ。東大阪市出身。高校の同級生の影響で競馬に興味を持った。92年の菊花賞(GⅠ)を自身と同じように小柄なライスシャワーが制し、その魅力に取りつかれた。大阪経大卒業後、競馬予想サイトの運営会社勤務を経て、フリーライターに。
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