●オリックス3―5ヤクルト○(14日・京セラドーム大阪)
真っ黒に日焼けした顔が、長かったリハビリ生活の日々を思わせた。ヤクルトの右腕・奥川恭伸が2022年3月以来、約2年3カ月ぶりに1軍のマウンドに帰ってきた。
「すごく緊張した」と言う。150キロ前後の直球は高めに抜けるケースが目立った。制球も本来の力からすればいまひとつだったが、再三のピンチでの粘りが光った。二回は2死一、二塁から9番・若月健矢を低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。三回2死一、二塁では、5番・紅林弘太郎を150キロの直球で詰まらせて右邪飛に打ち取った。
7安打を許しながら失点は四回の杉本裕太郎のソロ本塁打のみ。五回を投げ終えてベンチ前で列を作ったチームメートに笑顔で迎えられ、「守備に助けられた。点も取ってもらい、リズム良く投げさせてもらうことができた」と振り返った。
奥川は、星稜高(石川)のエースとして19年夏の甲子園で準優勝した。20年にドラフト1位で入団し、2年目の21年には9勝を挙げてチームの日本一に貢献した。しかし翌年は右肘の故障などで1試合の登板にとどまった。その後も度重なるけがで2軍生活が続いた。5年目を迎えた今季もけがで出遅れながら、ようやく復帰のマウンドに立った。
「粘り強く、気持ちだけは負けずに頑張りたい」と語っていた奥川。23歳の意地とプライドが詰まった79球だった。【石川裕士】
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