第67回九州実業団陸上競技選手権(九州実業団陸上競技連盟、毎日新聞社主催)が5月18、19日、北九州市の黒崎播磨陸上競技場㏌HONJOであった。男子やり投げで、比嘉遥選手(25)=フクモト工業=が2連覇を果たした。
男子1万メートルは市田孝(旭化成)が28分4秒49で日本選手トップの4位に入った。臼木大悟(KAC)はパラ陸上の男子200メートル(知的障害)で、21秒79の日本新記録をマークした。
最優秀選手には男子5000メートル競歩を優勝した徳山莞太(JR九州)と女子100メートル障害を大会新記録で制した清山ちさと(いちご)が選ばれた。
比嘉選手 地道な練習で成果
男子やり投げの比嘉選手は、野球の強豪校で知られる沖縄・興南高でプレーした元球児で、大学から始めた競技で着実に地力をつけている。
1投目で67メートル69をマークしトップに立つと、2投目で71メートル00と距離を伸ばして優勝を決めた。「風が難しい中で、助走では斜めに走り工夫をした。2投目だけはいい投げ方ができたと思う」と喜びを語った。
沖縄県名護市出身。小学校から野球に没頭していたが、強肩は陸上界でも知られていた。中学3年で、やり投げに似た競技「ジャベリックスロー」でマークした82メートル67の中学記録は現在も破られていない。
興南高3年夏の沖縄大会では、1番・右翼手としてプレーしたが、優勝した嘉手納高に3回戦で敗れた。「甲子園に行っていたら陸上の世界には来ていないかもしれないが、一区切りついた」。素質を見込んで誘われていた九州共立大に進み、やり投げに転向することを決意した。
大学時代はやりの重さに苦労し、肩や肘などのけがに悩まされ続けた。しかし「野球を続けたかった気持ちもあったので、中途半端な気持ちでは終われない」と奮い立たせると、地道に取り組んできた筋力トレーニングの成果も出てくる。身長170センチと小柄ながら、体全体を使ったフォームを意識しており、今年3月の競技会では自己ベストとなる76メートル03をマークした。
大学院を経て、現在は塗装工事会社のフクモト工業(福岡県宗像市)の営業職として、フルタイムで働きながら、平日は夜に練習に取り組む。「(平日は)長くても2時間の練習と決めている。大学時代より練習量は減ったが、効率良くできている」と社会人2年目で、仕事との両立も順調だ。
27日からは新潟・デンカビッグスワンスタジアムで日本選手権が行われる。「日本のやり投げのレベルも上がっているが、(4月の)織田記念国際でも73メートル41で日本選手では7番。手応えはある」。目標の8位入賞を目指していく。【藤田健志】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。