プロ野球・阪神

◯阪神1―0ロッテ●(2日・ZOZO)

 阪神には悪条件ばかりがそろっていた。相手は11連勝中と波に乗るロッテ。チームは本来リードオフマンの近本光司を4番起用せざるを得ないほど、打線が機能せず5連敗中だった。そんな逆境をはね返す唯一の回答を成長著しい右腕、才木浩人が導き出した。一回の1点を守り切る「スミイチ」での無四球完封。完璧だった。

 まず、150キロを計測するストレートが力強い。189センチの長身ゆえに、フォークの落差は打者には大きく見えてしまう。加えて、今季はスライダーの精度が良く、かつては縦変化に偏っていた配球が、より立体的に進化しており、ロッテ打線を封じ込めた。

 九回こそ先頭から連打を浴び、無死一、二塁のピンチを招いた。しかし、「最後は気持ち。真っすぐでどんどん押していこう」と力を振り絞った。ソトを直球で遊ゴロの併殺打に仕留めて2死三塁とされたが、続くポランコにも直球を続け、二ゴロに打ち取った。コントロールが良く球数が少なかったため、最後まで球威が落ちなかったのも大きかった。

 「今日はもう、才木に任すしかあらへん」と腹をくくった岡田彰布監督の判断も奏功した。他にも1番に起用した森下翔太もプロ初となる先頭打者本塁打を放った。采配がはまった指揮官は、にこやかに球場を去って行った。【岸本悠】

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