「セリエAのペルージャ」と聞けば、多くの日本人は、1998年に中田英寿さんがイタリアで鮮烈なデビューを飾ったサッカーのクラブを思い出すだろう。だが、バレーボール男子日本代表主将の石川祐希選手(28)が加入したペルージャはむしろ、バレーボール界の「レアル・マドリード」と言えるかもしれない。
今季「4冠」
中田さんが在籍した当時のサッカーのペルージャは下位クラブで敗戦の方が多かった。一方でバレーのペルージャは、世界トップクラブで、最近のセリエAで最も安定した結果を残している。2017~18年シーズン以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが中断した19~20年シーズンを除き、5季連続でレギュラーシーズン首位だった。
23~24年シーズンはレギュラーシーズンこそ2位通過だったが、プレーオフを6季ぶりに制した。イタリア杯とスーパー杯、世界クラブ選手権も優勝し、4冠に輝いた。石川選手が加入する24~25年シーズンは、欧州チャンピオンズリーグを含めた5冠が目標となる。
サッカーではスペインのレアル・マドリードが00年から、フィーゴ、ジダン、ロナウドら各国のエースを集めて「銀河系軍団」と呼ばれた。一方でバレーのペルージャも資金力があり、イタリア、ポーランド、ウクライナ、キューバ、チュニジアなど各国の中心選手が集まる。レアル同様、「世界選抜」のような顔ぶれになっている。
他クラブで活躍した選手も積極的に獲得しており、石川選手とともにミラノの2年連続の4強(23~24年シーズンは3位)に貢献したアグスティン・ロセル選手(アルゼンチン)も加わる見通しだ。
石川選手は中央大1年だった14年冬からセリエAでプレーしてきた。徐々にステップアップし、通算10シーズン目で、トップクラブにたどり着いた。
近年、石川選手の後を追うように、欧州のクラブへ渡る日本代表選手が増えているが、エース格としてトップクラブに迎え入れられる日本人は石川選手が初めて。日本男子バレー界のパイオニアとして、また大きな一歩を刻んだ。【小林悠太】
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