関菜々巳選手=東京都内で

◆船橋市出身 無念の涙を胸に

 千葉県船橋市出身のバレーボール女子日本代表のセッター関菜々巳選手(24)の胸には、昨秋にパリ五輪出場権を逃した無念の思いがある。出場を懸けた最後のチャンスは、世界6会場を舞台に開催中のネーションズリーグ。16カ国が3週間にわたって戦う。今度こそ“切符”をつかみ取る。(平野梓)  昨年9月、東京・国立代々木第一体育館で行われた五輪予選。日本は出場権獲得を目指したが、最終日にブラジルとの直接対決となり、フルセットで負けた。この大会を全て先発出場した関選手は、取材エリアで涙を流し「チームを勝たせるセッターになりたい」と誓っていた。  「負け惜しみでしかないけれど、『あの1点が取れたら勝てたのに…』という場面がたくさんあった。セットの終盤や、この1戦、この1点という場面での気迫、熱量で海外選手に負けていた。そこを詰めて頑張らないと」と心に決めた。  コート中央からの速攻やバックアタックなどを、果敢に使うトスワークを得意とする関選手。3月に終わった国内最高峰の舞台・Vリーグでは、苦手だったライト方向へのトスに磨きをかけて攻撃の幅を広げた。ただ、リーグ優勝はできず、「優勝以外は全て不本意。勝てるセッターになるには結果を出さないと」と反骨心を燃やす。

◆負けん気から始まった競技人生

 競技人生もその負けん気から始まった。地元のチーム、塚田JSCで先にプレーしていた姉を見て、「きつそうだし、怒られるし。全然やりたいと思わなかった」。小学2年の時に入部直前まで駄々をこねたが、母に「じゃあやめる?」と聞かれ、思わず「やる!」と言い返してしまった。  「やるなら勝ちたいし、県で1番になりたい」と強豪・柏井高校(千葉市)に進むと、チームの誰よりも居残り練習に励んだ。才能は努力で花開く。年代別の代表に選ばれ、卒業後に所属した東レではルーキーシーズンから主力に。常に向上心を絶やさず、今夏のパリ五輪終了後には自身初の海外挑戦を予定している。  「できないことがあると悔しい。克服するために毎日、頑張っている」と、ストイックな姿勢で競技と向き合う。  初戦は16日未明(日本時間)、トルコ・アンタルヤ会場でトルコと。

◆女子バレー 枠は残り5

 パリ五輪の出場枠は12あり、開催国枠のフランスと昨秋のパリ五輪予選ですでに7枠が埋まっている。残り5枠は、ネーションズリーグ予選ラウンド終了後の6月17日付の世界ランキングで決まる。  まず、まだ出場権を一つも獲得できていないアジア、アフリカの両大陸から最上位チームに1枠ずつが与えられ、残り3枠が世界ランク順で埋まる。日本は現在9位。アジア最上位の中国(6位)や、順位の近いイタリア(5位)、オランダ(10位)、カナダ(11位)などと争うことになる。  6月11日から始まる第3週は、北九州市も舞台となる。白星を多く挙げて上位を確保し、6大会連続の五輪出場を目指す。


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