大相撲夏場所は12日、東京・両国国技館で初日を迎える。11日は土俵祭と優勝額の贈呈式が行われ、1月の初場所を制した横綱・照ノ富士、3月の春場所で110年ぶりに新入幕優勝を果たした尊富士(ともに伊勢ケ浜部屋)に毎日新聞社から優勝額が贈られた。大いちょうが結えない、ちょんまげ力士の優勝額は尊富士が初めて。夏場所は右足首のケガで休場するが、さらなる飛躍への思いも語っていた。
贈呈式には照ノ富士と、尊富士に代わって師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が出席した。自身9個目の優勝額を手にした照ノ富士は、節目の10回目の優勝を念頭に「それがかなえられれば一番いい」。懸念される脇腹の状態については「大丈夫」と短く語った。
日本相撲協会によると、「ちょんまげ優勝額」は初で、1914年夏場所で新入幕優勝した両国も当時は大いちょうだった。尊富士は本来なら、兄弟子の横綱と同席して珍しい「ちょんまげ優勝額」をお披露目したかった。優勝額用の写真撮影に際し、取材に応じた4月には「(今後は)やれば何とかなる」と述べ、2、3回と優勝を重ねる意欲も口にしていた。
実は、入門前には照ノ富士の優勝額の写真撮影に同行していたという。当時、優勝は想像すらしていなかったが、2022年秋場所の初土俵から所要10場所で達成。縦約3・2メートル、横約2・3メートルの大きな額に自身の姿が納まることに「わくわくしていますね」と心待ちにしていた。
優勝額は5年以上、館内に掲げられる。「相撲(の歴史)をよく知らなくて」と苦笑した尊富士にとっても「自覚を持って相撲を頑張るしかない」と決意を新たにする機会になった。「もっといい姿を見せたい。自分が活躍すればいいだけの話なので。今回だけではなくチャンスがあれば……」と、言い聞かせるように語っていた。
25歳のホープは小休止となったが、この悔しさもまた成長の糧になる。【岩壁峻】
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