■治療法確立されていない「1型糖尿病」
1型糖尿病患者が障害基礎年金を突然打ち切られたとして国を訴えていた裁判で、期間内に国からの上告はなく、患者全員の救済を認めた大阪高裁の判決が確定しました。
1型糖尿病は、免疫機能の異常により血糖値が安定しない病気で、生活習慣が原因の2型糖尿病と違って治療法が確立されていません。
■昼夜を問わずインスリン 日常生活に大きな制限
最悪の場合は命に関わるため、昼夜を問わずインスリンを打ったり糖分を補給したりと血糖値のコントロールが欠かせず、日常生活や仕事にも大きな制限があります。
■障害基礎年金の支給が「打ち切り」となった原告
患者である原告たちは生活を支えるための障害基礎年金を受給していました。
1型糖尿病の場合、障害基礎年金は日常生活が著しい制限を受ける、障害等級「2級」以上の人に支給されます。
2016年に2級の認定基準は変わらないものの3級の認定基準が改定され、原告らは症状が変わっていないにも関わらず「3級」と判断され、支給が打ち切りになりました。
2017年、患者9人は国に打ち切りの取り消しを求めて提訴し、2019年大阪地裁は「理由を明らかにせず打ち切るのは違法」と判断し国に、打ち切りの取り消しを命じました。
しかし、その1か月後に国が「2級に該当しない」と理由を加えた上で再び支給を停止したため、患者らは改めて裁判を起こし、国に打ち切りを取り消すよう求めていました。
2019年、1審の大阪地裁(森鍵一裁判長)は1人を除く8人について「日常生活に著しい制限を必要とする」2級に該当しないと判断。
■国に障害基礎年金の打ち切り決定の「取り消し」命じる判決が確定
この判決を不服として原告8人が控訴し、先月大阪高裁(本多久美子裁判長)は、8人全員について「症状や日常生活への影響を見ると、障害等級は2級に当たると判断した」と述べ、国に対し障害基礎年金の打ち切りの決定を取り消すよう命じました。
今月7日が上告期限でしたが原告の代理人によると双方から最高裁への上告はなく、8人に対し2016年に遡って障害年金の支給を命じる大阪高裁の判決が確定しました。
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