大崎署を出る関根誠端容疑者=東京都品川区で2024年5月7日午前9時18分、藤井達也撮影

 栃木県那須町で夫婦の遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で逮捕された関根誠端(せいは)容疑者(32)は、死亡した東京都千代田区の会社役員、宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)が経営する飲食店のマネジャーを務めていた。

 「新しくオープンした店を任せようと思っている」。2023年3月ごろ、30代男性は宝島さん夫婦から関根容疑者を「長女の交際相手」と紹介された際、そう言われた。関根容疑者は宝島さんを「パパ」、幸子さんを「ママ」と呼んだ。夫婦も「セハ君」と声をかけ、親しみを持っていたようだった。

 この男性は、食事を共にした関根容疑者がその店のメニューを見て、「原価率が良いのでうちの店でも出してみないか」と提案する姿を覚えている。宝島さんの会社の売り上げも把握していそうな口ぶりで、男性は「宝島さんとはビジネスパートナーでもあるんだ」と受け止めた。

 関係者によると、夫婦は東京・上野のアメ横近くの繁華街で経営する20店舗近くの飲食店のうち、4店舗ほどで経営を長女に任せていた。関根容疑者がマネジャーを務めていたのはこれらの店舗だったとみられる。23年9月に設立された長女が代表取締役を務める会社では、関根容疑者が役員に就任した。

 一方、関根容疑者と夫婦の間では、経営を巡る金銭トラブルのうわさもあった。

事件を巡る経過

 宝島さんが経営する店舗の女性従業員は「関根容疑者が任されていた店では、夫婦と売り上げの分配でもめて、途中から幸子さんがお金の管理をするようになったようだ。2人が亡くなってからは関根容疑者を見かけなくなった」と話す。

 宝島さんと取引があった男性は「今後は関根容疑者が窓口になると聞いていた。ただ、見た目も派手で、言動も粗暴なので、あまり会いたくない相手だった」と声を潜めた。【菅健吾、朝比奈由佳】

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