天皇、皇后両陛下は12日、1月に発生した能登半島地震で甚大な被害のあった石川県の被災者らを見舞うため、日帰りの日程で同県穴水町と能登町を訪問された。両陛下は3月22日にも同県輪島市と珠洲市を訪問しており、今回の地震の被災地お見舞いは2度目。
がれきが残る商店街をご視察
両陛下は12日午前、羽田発の特別機で能登空港にご到着。羽田では、エンジンの不具合で機体を乗り換えるトラブルがあったが、休憩を短縮するなどして予定していた全ての日程に臨まれた。
穴水町では、両陛下はがれきが残る商店街を視察し、吉村光輝町長の話に耳を傾けられた。天皇陛下が、営業している店舗の店主らに「大丈夫でしたか」などと声をかけられる場面もあった。町長によると、声がけは予定にはなく、陛下が「声をかけてもいいですか」とその場で申し出られたという。
被災者「心から心配していただいた」
その後、40人以上が生活する同町の避難所にも足を運び、椅子に座った避難者らと目線を合わせて言葉を交わされた。
自宅が大規模半壊したという米田吉朗さん(76)と妻の美智江さん(76)に対し、皇后さまは「津波の方はどうでしたか」と気遣われた。米田さんは懇談後、「泣けてきた。本当に心から心配していただきました」と声を震わせた。
町内の広場では、土砂崩れで多数の犠牲者が出た方向に向かい、黙禱(もくとう)をささげられた。
今回で奥能登4市町すべてをご訪問
能登町では、津波が押し寄せた地区や、避難所をご訪問。沿道には多くの人が集まり、両陛下を歓迎した。案内役の大森凡世(かずよ)町長は「町民の皆さんが希望を持った顔をしていたので、私も明るくなった」と話した。
宮内庁によると、両陛下は3月に訪問した輪島、珠洲両市以外の地域の被災者も案じられていたといい、3週間で2回の被災地訪問が実現した。今回の訪問で、特に被災状況が厳しかった奥能登4市町全てを見舞われたことになる。(緒方優子、吉沢智美)
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