辞令交付を受けた石川さん(中央)と谷団長(左)、金子市長(右)=栃木県佐野市で2024年5月1日午後1時49分、太田穣撮影

 栃木県佐野市消防団(谷和文団長)に1日、佐野日大中等教育学校6年、石川莉子さん(18)が入団し、辞令交付を受けた。市によれば、現役女子高校生の団員は県内初。石川さんは「災害や救急の現場で働く看護師を目指しており、活動の中で実践的に学びたいと入団を希望した。精いっぱい頑張りたい」と抱負を語った。

 石川さんによると、祖母を亡くした中学生の時、家族にまで丁寧に対応してくれた看護師に出会い、看護職へのあこがれが芽生えた。2年前の夏の体験学習で、東日本大震災で被災した宮城県石巻市や七ケ浜町を2泊3日で訪問。震災当時、大川小に通っていた子供を亡くした保護者らの話を聞き、災害支援ナース、ドクターヘリで救命現場に急行するフライトナースが将来の目標になったという。

 市の条例では、消防団への入団年齢は満18歳以上。4月生まれの石川さんは誕生日直後、消防本部にメールで入団希望を伝えた。高校生の入団は前例がなかったため、消防本部は学校や家族を含めて協議をした結果、本人の意思を尊重し、入団を認めた。入団時年齢も同市最年少。

 同本部は、本部分団と佐野、田沼、葛生の3支団傘下の計31分団で構成。石川さんは先輩の女性団員9人全員が所属する本部分団に配属された。通常時は防火講習や救急救命講習、火災予防の広報、災害時は団本部の活動補助や情報収集、避難所運営など他の女性団員同様、後方業務が中心。現場への出動は、安全確保を前提に、保護者と相談した上で分団長が判断する。

 同市消防団員は条例定数742人に対し576人で充足率は77・6%(1日現在)。定員割れが続き、コロナ禍以降は減少が目立つという。石川さんの入団について、金子裕市長は「若い力が加わり、喜ばしい。消防団活動の多様化、若年世代の理解や入団の契機になることを期待する」と歓迎した。【太田穣】

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