いわゆる「袴田事件」のやり直し裁判で、捜査機関による「ねつ造」が認められ、無罪が確定したことを受け、最高検察庁が当時の捜査などを検証した結果をとりまとめました。

袴田巌さんは、58年前の1966年、静岡県で一家4人が殺害された事件で一度死刑が確定しましたが、2024年9月の再審=やり直しの裁判で、捜査機関による証拠品の「ねつ造」があったと認められ、無罪が確定しました。
検察は控訴を断念した後、袴田さんに謝罪しています。

最高検が26日午後に発表した報告書の概要によると、報告書は全部で7種類あり、当時の捜査などについて検証しています。

当時の捜査については、「警察官の取り調べは任意性を欠いた」としつつ、検察官の取り調べについても「袴田さんを犯人であると決めつけたかのような発言をしながら自白を求めるなど、供述に真摯に耳を傾けたものとは言えなかった」と指摘しました。

また、公判で採用された証拠については、「検察官の証拠提出が不十分であったことにより、再審請求審の審理にも混乱を招いた」としました。

再審請求の手続きが長期化したことについては、判決で「ねつ造」と認定された証拠品の「5点の衣類」の色に関する実験やDNA型鑑定などによって、「審理期間がある程度長期間に及ぶこともやむをえない面があった」としました。

また、第1次再審請求審で、検察側が、弁護側からの証拠開示の求めに応じなかったことについては、「当時の状況の下では検察官の対応に問題があったとは認められない」としています。

一方で、そうした求めがあった時点で、保管された証拠品を探していれば、「早期に発見されて提出できたかもしれず、審理がより促進された可能性はあった」と認めました。

報告書では、今後の対応策についても触れられており、再審事件を担当する検事を支援する部署の体制強化や、捜査資料や証拠の保管の適正化などを挙げています。

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