インサイダー取引をしたとして証券取引等監視委員会から刑事告発された裁判官について、出向先の金融庁は23日、国家公務員法に基づき懲戒免職とした。また、インサイダー取引をしていたとされる今年4~9月に所属していた企画市場局企業開示課の当時の局長である井藤英樹金融庁長官と、現在の局長をそれぞれ戒告とし、課長を減給10分の1(3カ月)とした。
加藤勝信金融担当相は同日、記者団に対し「金融行政に対する信頼を揺るがすのみならず、金融市場そのものの信用を揺るがすもので、あってはならないこと。大変遺憾だ」と述べた。
井藤長官らの処分については「規制当局の担当者による違反は社会的影響も非常に大きいことから、監督責任を重く受け止めた」と説明した。インサイダー取引規制に特化した研修を全職員に実施するなどして再発防止を図るとした。金融庁のTOB(株式の公開買い付け)審査の担当者による個別株の取引は原則禁止とした。
裁判官は今年4月から金融庁に出向し、企業開示課長補佐として勤務。TOBの審査を担当していた。【山下貴史】
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