日本学術会議を国から独立した法人とする内閣府の有識者懇談会の最終報告書について、学術会議会長の光石衛(みついしまもる)・東京大名誉教授は22日、報告書を一定評価した上で、「(法人化の)法制化に向けて責任を持って政府と協議していく」とする談話を発表した。この日、対応を協議した学術会議総会では異論も出たが、光石会長は記者会見で「報告を受け止めて前向きに進むのが適切ではないか」と述べた。
報告書は、学術会議を現行の「国の特別機関」から切り離し、首相による任命などで政府が選考に関与しないことを提言。政府による財政支援の必要性を指摘する一方で、首相が任命する監事や評価委員会を置き、活動の透明性を確保することを求めている。
この日の総会では、首相任命の監事などを置くことについて「独立性が担保されるのか」という懸念や、法に基づく強い意思表明の「勧告」ができる機能の維持を求める声が相次いだ。一方で「科学的な助言や国際活動の機能強化は必要で、議論が前に進んだことを評価したい」などとする意見も多く出た。
光石会長は総会後の記者会見で「安定した財政基盤や会員選考における独立性など、求めてきた要件は大枠で認められたと考えている。残る懸念は法制化の議論の中で伝えていきたい」と話した。
政府は報告書を基に学術会議と協議しながら法人化するための法案を作成し、来年の通常国会への提出を目指す方針だ。【中村好見】
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