能登豪雨(9月21日)の発生から21日で3カ月となった。能登半島地震の被災地を襲った記録的豪雨。石川県によると17日現在、死者16人、重軽傷者47人の人的被害が出ており、住宅被害も全壊113棟、床上浸水53棟など計1800棟に及ぶ。今もなお、豪雨による避難者数は316人を数える。
同県輪島市と珠洲市内の計5カ所で応急仮設住宅286戸が新たに建設中だが、完成は来年2月中旬~3月中旬になる見通しだ。完成を待つ住民は、新年を避難所や親族宅などで迎えることになるとみられる。
地震に続いて豪雨でも大きな被害が出た地域を訪ねると、住民からは「(時間の経過を)考える余裕もない」といった悲嘆の声が聞かれた。大地震から間もなく1年がたつにもかかわらず、二重被災に苦しむ被災地の復旧・復興への道は険しい。【阿部弘賢、深尾昭寛】
地震や豪雨災害で被災した写真を救おうと、一般社団法人「オープンジャパン」と任意団体「あらいぐま能登」が21日、石川県輪島市町野町の「もとやスーパー」で写真洗浄会を開いた。住民らから写真洗浄の依頼を受け付け、預かった写真を洗った。22日も実施する。
東日本大震災や西日本豪雨などの災害時にも長期間、同様の活動を続けてきたグラフィックデザイナー、福井圭一さん(54)=岡山県倉敷市=が「あらいぐま能登」を立ち上げ、7月から活動を始めた。これまで同県輪島市や珠洲市、能登町で4回洗浄会を開き、約2万枚を預かった。
特に豪雨災害後は依頼が増え、中には、子供の成長記録や結婚式、遺影などの写真もあるという。福井さんは「写真はその人の歴史そのもの。失えばお金では二度と手に入らないものもある」と話す。泥水をかぶったまま放置すると、付着したバクテリアによって画像が失われてしまう恐れがあるため、なるべく早く乾燥させることが大切だという。
この日は、事前に預かって乾燥させていた町野町関連の写真を洗う作業を行った。福井さんや3人のボランティアは、アルバムのフィルムをはがした後、写真を水に浸しながら、表面に付いた泥や汚れを拭い取った。
ボランティアで参加した埼玉県所沢市の野中康治さん(49)は、東日本大震災の際も写真洗浄の活動を経験。「持ち主にとってはかけがえのない思い出の1枚かもしれないと思って慎重に作業をしている」と話す。
洗浄が終わった写真は順次、持ち主に返却する。今後も被災した住宅から写真アルバムが見つかることが予想され、長期間の活動が見込まれている。福井さんは「写真洗浄が、地域の活動とも結びついて、人が集まる場所にしていきたい」と話した。【阿部弘賢】
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