千葉県柏市の自宅で夫婦が殺害され、近くで住宅8棟が全焼する火災があった事件で、火災のあった現場で高齢の男性が住宅に火をつけて車で去る様子を、近くの住民が目撃していたことが、捜査関係者への取材で判明した。県警は外見などから、二つの事件発覚後に公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された職業不詳の酒巻馨容疑者(77)だったとみている。酒巻容疑者はやけどをしており、治療のため釈放されて入院した。
捜査関係者によると、死亡したのは渡来敏明さん(59)と妻礼子さん(59)で、酒巻容疑者との間に金銭トラブルがあったという。酒巻容疑者から「お金を返してほしい」との連絡を敏明さんにしていたという趣旨の説明を酒巻容疑者の関係者がしているといい、酒巻容疑者が夫婦の死亡の経緯についても事情を知っているとみて、県警が慎重に調べている。
火災は18日午後6時20分ごろ発生した。県警は目撃情報などから、8棟のうちの1棟に住んでいたが、火災後に所在不明になっていた酒巻容疑者が関与した疑いが強いとみて現住建造物等放火容疑で逮捕状を取り、行方を捜査。その後、千葉県印西市で軽乗用車に乗っている酒巻容疑者を警察官が発見した。その際、職務質問した警察官に車を急接近させたとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕していた。
渡来さん夫婦が倒れているのが見つかったのは火災発生の約10分前。約600メートル離れた自宅敷地内で血だらけの状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。2人とも、胸や背中などに複数の傷があった。県警は20日、遺体の司法解剖をして詳しい死因を調べた。【林帆南】
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