国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は、北九州市が進めている明治期の初代門司港駅(当時の名称は門司駅)関連遺構の解体工事を非難し、工事中止と遺構の保全を求める声明文を18日(日本時間19日)付で武内和久市長宛てに出した。
イコモスは9月、遺構を現地保存するよう求める緊急要請「ヘリテージアラート」を出したが、市は11月28日に解体に着手。既に遺構のシンボル的存在である機関車庫の一部を含む大半が撤去され、現在も解体作業が続いている。
声明は「遺跡の保存を促したにもかかわらず、取り壊しが開始され落胆している。現在の保存計画では遺跡の歴史的・文化的意義を規定体現する中核的要素を適切に保護できない」と非難し、遺構の解体中止や保存計画の策定などを求めている。
北九州市は現地への複合公共施設建設のため遺構を全面解体する方針だったが、ヘリテージアラートなどを受け、11月21日に機関車庫の基礎部分の一部保存と一部移築を発表した。しかし保存箇所は長さ数メートル、幅約1メートルで、遺構全体の面積の1%弱程度とみられる。【伊藤和人】
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