人気ブランドのオフィスチェアを希望小売価格より値下げして販売しないよう小売業者に強要したとして、公正取引委員会は19日、家具卸最大手「関家具」(福岡県大川市)の独占禁止法違反を認定し、再発防止を求める排除措置命令を科した。強要行為は同社役員主導の下、口頭で行うなど証拠を残さない方針が社内で徹底されており、公取委は違法性を認識したうえで組織的な不正を繰り返したと判断した。
公取委によると、関家具は遅くとも2020年2月以降、自社が総代理店を務める中国のオフィスチェアブランド「エルゴヒューマン」の商品を日本国内の小売業者に出荷する際、店頭などでの販売価格を希望小売価格より値下げしないよう指示していた。独禁法は自由に販売価格を決めさせない行為を「再販売価格の拘束」として禁じている。
関家具と小売業者は契約時に希望小売価格の順守を口頭で約束。そのうえで関家具はインターネットで値下げの有無を確認し、小売業者側も相互に監視して抜け駆けを見つけたら「密告」していた。また、関家具が指示に従わない小売業者に対し、出荷価格を引き上げることもあった。
エルゴヒューマンのオフィスチェアは単価が9万~15万円の高価格帯商品で、新型コロナウイルス禍のテレワーク普及に伴い、高い売れ行きを誇った。関家具は「安売りブランドのイメージが付くのを避けたかった」と公取委に説明したという。【渡辺暢】
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