戦後の政治報道で存在感を発揮した渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆が死去したことを受け、自民党の岸田文雄前首相は19日、国会内で記者団に「言論人としてマスコミ人として大きな影響を、日本の戦後の歴史において残された方だった。一つの時代が終わった、と感慨深く感じている」と語った。
渡辺氏は、岸田氏の父・文武氏と旧制高校の同級生だった。岸田氏は「私の父が亡くなった時に葬儀の友人代表として渡辺主筆に弔辞を読んでいただいた。途中で渡辺主筆、号泣されて、途中から弔辞が読めなくなったことがあった。大変、印象深い場面だった」と振り返った。
岸田氏は開成高校出身で、渡辺氏は高校の先輩だった。岸田氏は「若い頃から大変親しくご指導いただいた、私にとっては大変大きな存在だった」と指摘。当選1、2回の若手議員のころから渡辺氏との親交を続けてきたと明かし、「国会議員になってまだ駆け出しのころ、しょっちゅう、会社にお伺いして主筆から直接お話を聞かせていただいた。忙しい方だったと思うが、若い頃は1回行くと、1時間はたっぷりと昔の話をいろいろ聞かせてもらった。大変、世間に対しては厳しい一面も示された 方だが、私にとっては絶えず心温まる、優しいお人柄だった」と語った。
首相在任中にも「度々会社でお話を聞かせていただいた」と振り返り、「今年の8月に私自身が退陣表明した後、電話でお話ししたのが最後だった。私の政治人生にとって大切な方だった」と悼んだ。【小田中大】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。