三菱UFJ銀行の元行員が東京都内の支店の貸金庫から顧客の金品を繰り返し盗んでいた問題で、金融庁は16日、同行に対して銀行法に基づく報告徴求命令を出した。東京都内で記者会見した半沢淳一頭取は「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがす事案。深く反省する」と陳謝。自身を含めた役員の処分については「調査や分析を進め、責任を明確にする中で検討したい」と述べた。
半沢氏は会見で、盗みを働いたのは40代の女性行員=11月に懲戒解雇処分=と明らかにした。元行員は2020年4月~24年10月までの間、勤務先の練馬と玉川の2支店の貸金庫から、顧客の現金や貴重品などを繰り返し盗んでいたという。
被害にあった顧客は約60人で、被害総額は時価十数億円程度と発表していたが、この2支店でさらに数十件の被害の申し出があり、被害が拡大する可能性がある。
元行員は支店の営業課長などを務め、貸金庫業務をほぼ1人で担当。管理責任者としての立場を悪用し、支店で保管していた顧客の予備の鍵を使って貸金庫を何度も無断で開けていた。盗んだ金品は「投資などに流用した」と説明しているという。
銀行側は貸金庫の中身を把握しておらず、被害が特定できた顧客から補償を進めている。再発防止のため、各支店で保管していた顧客の予備の鍵は、本部で一括管理する。
6月には、三菱UFJ銀と系列証券2社が取引先企業の非公開情報を無断で共有したとして、金融庁から金融商品取引法に基づく業務改善命令を受けており、大きな不祥事が相次いでいる。【成澤隼人、遠藤龍、小坂剛志】
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