2000年に東京都世田谷区で起きた一家殺害事件や、04年に長崎県佐世保市で発生した小学6年の女児殺害事件の遺族らが登壇し、犯罪被害者や遺族の支援を考えるシンポジウムが15日、世田谷区で開かれた。遺族は自身の経験を語り、支援の拡充を訴えた。
佐世保市の事件で妹の御手洗怜美(さとみ)さん(当時12歳)を同級生の女児に殺害された男性(35)が基調講演をした。事件直後、憔悴(しょうすい)する父恭二さん(66)=当時・毎日新聞佐世保支局長=を見て、中学3年だった自身は「自分は大丈夫だ」と振る舞ったという。
だが約1年後、進学先の高校で登校しても教室に行けなくなり、養護教諭にこれまでの思いを初めて吐露。その後、少しずつ本心を周囲に話せるようになったという。男性は「犯罪被害に遭うと、親は子どもを支えられるような精神状態ではない。学校や行政はためらわず、子どもを支援してほしい」と強調した。
その後のパネルディスカッションでは、世田谷一家殺害事件で妹を亡くした入江杏さん(67)が「被害の後は、周囲との関係が大きく変わる。悲しみは解消されることはないが、悲しみやつらさについて話したり、考えたりする場は日常を取り戻すことにつながる」と話した。
世田谷区は、犯罪被害者の弁護士費用やカウンセリング代などを助成する条例案を次の定例議会に提案する予定。25年4月の施行を目指している。【菅健吾】
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