男女どちらでもないと自認している「ノンバイナリー」の50代の当事者が13日、戸籍の続き柄で性別を明らかにしない表記にするための家事審判を京都家裁に申し立てた。「長女」とされているが、「子」などの記載に訂正するよう求めている。記者会見で「違和感なく自分の人生を送っていきたい」と訴えた。
戸籍法13条では父母との続き柄を戸籍に記載するよう求めているが、性別の記載については定めていない。一方、出生届には同法49条で生まれた男女の別を記入するよう定めており、法務省は「戸籍の続き柄は男女を含めた概念だと認識している」と説明している。
当事者は京都府内に戸籍があり、出生届は「女性」とされた。小学生の頃には男子、女子いずれも同性と感じられなかったという。20代の頃に性別の悩みを告げた父親からは「お前は女の子だ」と言われるなどし、「思い悩む日々だった」と振り返った。
40代の頃にノンバイナリーの概念を知った。「長女」との記載が自らのアイデンティティーと一致しないとして、戸籍の訂正を求めることにしたという。「個人として権利が保障されており、残りの人生は女でも男でもなく、生きていきたい」と語った。
代理人を務める仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)は「出生届に拘束される定めはなく、現行の記載は実務上の慣習に過ぎない」と主張。本人の意思に反する記載の強要は幸福追求権を定めた憲法13条に反しているとし、戸籍法の解釈変更を求めている。【水谷怜央那】
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