同性同士の婚姻を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(岡田健裁判長)は13日、幸福追求権を定めた憲法13条と法の下の平等を定めた憲法14条1項、個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項に違反すると判断した。13条違反を認めたのは地高裁を通じて初めて。その上で、1審・福岡地裁判決(2023年6月)と同様に国会が立法措置を怠ったとはいえないとして国の賠償責任は否定し、同性カップル側の控訴を棄却した。
同種訴訟は全国5地裁に計6件起こされ、高裁判決は3件目。高裁での違憲判断は24年3月の札幌高裁判決、24年10月の東京高裁判決に続いて3件連続となった。憲法の条文ごとの判断では、札幌高裁が憲法14条と婚姻の自由を保障する24条1項、24条2項に、東京高裁は14条と24条2項に違反するとしていた。
福岡訴訟では、福岡と熊本の同性カップル3組6人が国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた。
1審判決は同性愛者が婚姻制度を利用できないことは「個人の尊厳に照らして人格的利益を侵害するもので到底看過できない」として24条2項に違反する状態と判断。ただ、どのような制度にするかは国会の裁量に委ねられているとして直ちに違憲とはしなかった。
同性カップル側は控訴審で、パートナーと家族になるための法制度としては現行の婚姻制度が最も適しており、どのような制度にするかの議論を国会に委ねる必要性はないと主張。近年の世論調査結果で同性婚に賛成する意見が急速に広まっている実情も踏まえ、明確な違憲判断を出すよう求めた。
一方、国側は24条1項は「両性」や「夫婦」という文言があることから、同性婚を想定しておらず、1項を前提とする2項も同様だと反論。同性婚を異性婚と同視するだけの社会的承認は得られていないとし、控訴棄却を求めていた。【志村一也】
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