■母親・浩子被告の7回目の裁判始まる

 2023年7月、札幌・ススキノのホテルで男性を殺害したとして親子3人が逮捕された事件。

 田村瑠奈被告(30)の母親で、死体遺棄ほう助、死体損壊ほう助の罪に問われている浩子被告(61)の7回目の裁判が12月12日午前11時から開かれました。

 以下は弁護側と浩子被告の午後からのやりとりの続きです。

■エタノール・GPS履歴・LINE・ウィッグ・スマホについて

Qエタノールは瑠奈被告に頼まれて買っているが理由や使い道はなんだと思った?
ーエタノールはコロナ禍前から使うものだった。台所や包丁に使っていた。被害男性と出会う前から自分のボトルが欲しいと言っていた。何に使うかは聞いていなかった、何かに使っていたなぐらいの印象。

Q被害男性に親だと明かすことはなぜしなかったのか?
ー娘が自分で行動して見つけたという成功体験をさせてあげたかった。最初の印象がぬぐえなかった。

Q瑠奈被告は楽しみにしている様子だったのか?
ーいずれ連れて行かなければいけないと思った。

Q7月1日の事件当日のことを聞きます。修被告に「車のGPSの履歴は残りますか?」と(LINEでメッセージを)入力した記録あるが、覚えていますか?
ー見せられるまで、(記憶は)ない。

Qどうして(修被告に車のGPSの履歴残るかと質問した)履歴あった?
ー普段気にしてなかったけど、娘との話の中で出て、(修被告に)頼まれたのか気になったのかで、聞いたと思う。

Q瑠奈被告に頼まれて修被告にLINEするときは、そのまま送るの?
ーそのまま送ることもあれば、付け加えることもあったけどそのまま送ることが多かったと思う。

Q内容についてなぜ聞かないの?
ー聞く習慣がない。

Q当日に出かける前に金髪のショートのウィッグをかぶっていたの見た?
ー見た。

Q疑問はなかった?
ーない。娘は髪が長いが、前からショートのウィッグはかぶるし、これまでも買っていたので、違和感なかった。

Qどのくらい持っている?
ー数えたことないけど、海外から買ったり、店にも一緒に行ったことあるので、30くらいはゆうにあったかと。

Q二人が出かけた後、深夜に目が覚めたりしていたようだが、連絡はしていないのか?
ー出かけた後は、お役御免というか切り替えていた。それまでどうなったとか確認する習慣はなかった。お任せで安心というのもあった。大丈夫だし、なるようにしかならないという感じ。

Q修被告が家にスマホを置いていたけど知っていた?
ー知らなかった。

Qよく置き忘れる人なのか?
ー時々、忘れて「そこにないか」とか電話があって仕事から取りに戻ってくることは何度かあった。


■「おじさんの頭を持って帰ってきた」「浴室でもしも従業員が発見して驚いてはいけないので血を掃除してきた」

Q瑠奈被告は当日一度帰宅してクラブに行って、再度帰宅している。瑠奈被告から「おじさんの頭を持って帰ってきた」と言われているが、説明してください。
ー時間は分からないが、娘が起きてくる午後3時すぎか日暮れまでの明るい時間だったと思うが、話の流れで出たと思う。

Q浴室で何を見ましたか?
ーそばで見ていないけど、衣装ケースの小さめのようなもので水が入っているなと思って、黒いものが入っていた。黒いごみ袋かなというものを見た。

Q起きてきて「おじさんの頭を持って帰ってきた」と話しがあり、どう思った?
ーどういうこと?という疑問がわいてきた。何を言っているの、この子はって。その後話の流れで、具体的になって…。まさかと思ったが疑問符はあった。

Q具体的とは?
ー「浴室でもしも従業員が発見して驚いてはいけないので血を掃除してきた」と言った

Q殺人だと思った?
ー突拍子もないので現実感がなかった。その後、クラブで女性2人が仲間に入れてくれて、飲んだり踊ったり、楽しかった、と言っていたので本当かなと思った。突拍子がなかったので、聞き返したりしなかった。なんの話かと聞かなかった。

Q指紋消したと言った?
ー聞いた覚えがない。

Q私たちと打ち合わせした時に捜査報告書を見ているよね?被害男性の写真どうだった?
ー静止画だったけど、黒い手袋をしているように見えた。

Qどんな様子で話していた?
ー淡々としていた。

Qいつ把握した?
ー7月3日の新聞に”すすきので事件”という記事があって、事情は一緒にいた人が知っていると書いてあった。まさか、これじゃないよなと思って、新聞にこんなのあるよと瑠奈に言ったら、それをとっておいてと言ったので、無関係じゃないと…。血の気が引いて貧血になりそうだった。

Q7月2日に修被告にラインで連絡は?
ーしない。忙しいときに連絡入れたことない。突拍子もないことだし連絡しなかった。

Q新聞で本当じゃないかと思った?
ーはい。修さんには伝えていない。本当ならとんでもないので、自分の精神状態を覚えていないけど伝えなくちゃと思った記憶ない。

Q修被告とこんなことあったと話した?
ー話をするより顔を合わせて大変なことが起きてるねと目を見てわかったと思う。


■「絶望的な気持ちになった。最愛の娘が取り返しのつかないことをやったと思った。それ以上おかしくならないように”すごいね”としか言えなかった」

Q損壊された頭部を見せられてますよね? どんな気持ちだった?
ー………(30秒ほど沈黙)(ハンカチを目元によせるなどのしぐさ)

ーちょっと来てと言われて、行ってみたらソレがソコにあって、絶望的な気持ちになった。最愛の娘が取り返しのつかないことをやったと思った(※泣く声)普通に言っていたので、それ以上おかしくならないように、”すごいね”とか返したと思う。

Qちょっと見てとだけ言った?
ー見てと言われて見た。

Q褒めていない?
ー決して褒めてはいない、娘の様子が壊れてしまっているというか(泣き)妄想であっても、そんなことしたことなかったので、調子を合わせるしかなかった。すごいねとしか言えなかった。

Qほかに瑠奈被告は何か言っていた?
ー「見て」と言われ見た記憶しかない。

Q「すごいね」は、褒めたわけではない?
ー褒めようとした意識は全くない。娘の様子が壊れてしまっている。あまりに常軌を逸しているのでその調子に合わせるしかできなかった。


■「娘は一見平穏に話していたが、行うことは異常。これ以上精神を乱したくない。”気持ち悪い”と言ったら壊れるかもしれないので合わせようと思った」

Qビデオ撮影についてどう思った?
ーその前に見てしまった頭部の様子がフラッシュバックした。またそれを目にしなければならない。自分の精神が耐えられるのか。もう一度見ることは無理だと思った。それを見たくないが、無理とは言えず「カメラを触るのが苦手だから」と言って修さんに頼もうと思った。
ー娘の様子は一見平穏に淡々と話していたが、行うことは異常。これ以上精神を乱したくない。「気持ち悪い」と言ったら壊れるかもしれないので合わせようと思った。本心から「見るのは無理」とは言えなかった。

Q修被告にカメラの撮影をLINEで頼んだことについて
ー私の心は修さんに助けを必死に求めている。修さんが言ってくれたのはお弁当を取りに行こうか?だけどその前から娘が待っていて、待ちきれなくなった娘が(修被告が)いないんだったら撮影してと言われたら大変。LINEは娘が見たときに違和感ないようにした。お願いします(弁当を取りに)行かないでくださいの気持ち。

Q瑠奈被告がLINEを見ることはあるのか?
ーこういう風に送ってと言われて、”ちゃんと送ったの”とのぞき込んだり確認してくることもあった。万一見られても大丈夫なようにしていた。

Q見られたらまずいものは消していた?
ー「今日は調子が悪そう」「機嫌悪い」など自分がいないところで自分の話をされるのが嫌。

Q写真の状況
ー2階の居間で「写したから見て」と言われた。ちらっと見たときに浴室で見せられた頭部の写真だった。ちらっとしか見なかったら「ちゃんと見て」と手渡された。「全部見て」と言われたが4枚のうち3枚見るのは精一杯。

Qその写真には切り取られた遺体の一部は入っていた?
ー記憶にないがあったようにも、、思い出せないです。

Qビンについて
ー寝起きするすぐそばにドールの箱の上にビンが置かれていた。「見たくない」と言えなかった。うっかり落とすと危ないからどけてくれないかといった。

Qザルとワイヤーは浩子被告が買ったもの?
ーそうです。

Q買ったのは?
ー頭部が浴室にある時。

Q損壊行為に使われると思った?
ー事件と結び付けていなかった。

Q目にしてどうだった?
ー衝撃。必要と言われて急いで買ったがこういうことに使われたんだなと。


■「地獄というのは死んでから行くところじゃなくて、いま目の前にあるんだと。誰かに助けを求めるレベルを超えていた」

Q殺人の確信を抱いたときから逮捕まで瑠奈被告について修被告と話したことは?
ー地獄というのは死んでから行くところじゃなくて今、目の前にあるんだねと話した。起きたことについてどうこうと話した記憶はない。誰かに助けを求めるレベルを超えていた。通報は考えなかった。最愛の娘がしたこと。娘にとっては親ではないが私にとっては娘ですから…身内から突き出すことは私には絶対できない、しようとも思ってなかった。

ー修さんの車で移動しているし、スーツケースを引いて歩く映像や、家の近くにもカメラみたいなのがあり、カメラリレーをすればわかってしまう。警察が身近に来ているのがわかっていた。ゴミ収集車が目の前に止まるが、ある日から静かに来るようになった。できるだけ静かに集めているなと思った。私がリハビリに通っていたがうしろから来ているなと思った。
普段なら駐車しない車が向かいの家の隣に止まっていた。捜査の方が身近に来ていると思った。

Q瑠奈被告を逃がそうとか頭部を捨てることは考えなかった?
ー一切考えませんでした。残された日々警察が訪ねてくるまでは一見平穏に見える娘と過ごしていたいと思っていた。

■「娘との生活は続けなければならなかったが、心の中では”すべて失った、世界が崩れ去った”」「殺害を実行した人格はシンシア」

QLINEではどうして日常のやりとりをしていた?その心境は?
ー地獄の中にいる、崩れ去った世界にいるが娘の前では普通にしていた。何事もない日常が続いているように見えると自分でも思っていた。娘との生活は続けなければならなかった。心の中は「すべて失った」「世界が崩れ去った」と思う。

Q兄と電話しているがコーヒーなどの世間話をしているのはなぜ?
ーそもそも娘の不登校の話をしていない。精一杯平静を装って、なんで私こんな話をしているのだろうと思いながら話していた。母の戦死した兄についてもっと話を聞いてあげればよかったと話したが、本当に話を聞いてほしかったのは私だった。電話中、泣きそうになるのをこらえていた。

Q瑠奈被告の様子について
ー「やっとえずかなくなった」と話していて、好きでやっているのはないのかなと思った。疲れている、やらなきゃいけないと課題のようだった。

Q実行した瑠奈被告の人格は誰なのか?
ーシンシア。ルルーやベイビーは激しいことをやるキャラクターではない。楽しそうには見られなかった。

Qなぜやったか聞かなかった?
ー聞かなかった。修さんとどうしてやったのか話してない。事実があるので振り返っても仕方がない気持ちがあった。

Q修被告から損壊のシーンの撮影説明あった?
ー一度もない。

Q瑠奈被告からは?
ー瑠奈からも聞いていない。

Q損壊をいつ知った?
ー検事から聞いた。

Q撮影を頼まれたとき、何の撮影かわかっていた?
ーわかっていない。修さんにも具体的なこと聞いていない。

Q最初の頭部損壊は見ているよね?新たにやると思った?
ー頭部がどうしようもないくらいになっていたので、これ以上何もできないと思った。これ以上何かするという風に思えなかった。修さんには浴室で何かするので撮影してと伝えた。

Q自分が逮捕されると思っていた?
ー私は逮捕されるとまったく考えていない。修さんも逮捕されることはしていないと思っていて、なぜ逮捕されたのかわからなかった。


 次回の公判は12月20日午前11時からです

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