電子決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN、東京)は12日、新潟交通(新潟市中央区)が運行する路線バスで、利用状況の可視化に向けた実証実験を開始する。バスの乗車口と降車口にそれぞれAI(人工知能)が搭載されたカメラを設置。利用者の顔画像をデータ化し、乗降情報を記録する。将来的には事前登録した顔データをバス搭載のカメラで照合し、「顔パス」で乗車できるシステムの構築を目指す。
実証実験に向けた事前テストが11日、新潟市中央区の市産業振興センターで行われ、カメラが設置された路線バスの内部が公開された。実験は22日までの11日間で、JR新潟駅と西部営業所(同市西区)を結ぶ路線を1日7~8回走る。
路線バスは交通渋滞や天候など外部要因によって定時運行が難しいことに加え、朝夕のピーク時とそれ以外のオフピーク時の需要の差が大きいという課題がある。TMNは正確な利用実態を把握し、バス運行の適正化に役立てたい考えだ。
今回の実証実験では、バスの乗車口と降車口にそれぞれ設置したAIカメラが利用者の顔画像をデータ化。GPS(全地球測位システム)情報も活用して停留所を特定し、「いつ、どこから乗って、いつ、どこで降りたか」といった具体的な情報を収集する。TMNでは2023年以降、新潟市と群馬県渋川市で実験を行っており、今回で3回目。路線バスの振動に耐えられるかや通信環境が安定しているかなどを確認する。
TMNは将来的には、顔認証決済システムの実用化も目標としている。事前登録した顔データを、バスに搭載したカメラで照合することで「顔パス」での乗車が可能となる仕組みだ。システム開発を担当するTMNの淀川征慶氏は「基礎的なデータを集めることで、バスの運行をよりよいものにしたい。(ICカードでの)タッチの必要がなくなるといった新たな乗車体験も目指している」と説明した。【神崎修一】
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