那覇市を発着点に台湾などを周遊する予定だった巨大豪華客船「MSCベリッシマ」(約17万トン)が船体の技術的なトラブルで出港できなくなっていることが9日、分かった。関係者によるとツアー参加者は約4400人で、うち別ツアーなどで台湾から乗船していた約2千人はクルーズ会社が手配した航空便で台湾に戻っているという。他の客は那覇港に停泊した船内に宿泊している。

 船を運用するのはスイスに本社を置くMSCクルーズ。今回のツアーは6日に那覇港を出港し、石垣島、台湾、宮古島を巡り10日に那覇港へ戻る予定だった。

 同社によると、ベリッシマは「技術的な調整が必要」な状況で出港できておらず、メンテナンス作業を続けている。本紙取材に、乗客には「丁寧に説明し補償プランも案内している」と回答。「洋上ホテルとして船内ではイベントやショー、パーティーなどを開催している」と説明した。

 一方、乗客の一人は「説明が不十分だ」と不満を隠さない。名古屋市からツアーに参加した女性は「朝には石垣島に着いていると思っていたらまだ那覇港だった。船側が台湾の乗客の手続きに追われていて、船内のイベントは中止になっている。閉まっているお店もある」と話す。

 3日目にツアーの全面中止の案内があったといい、「説明が不十分で訳が分からない。ずっと那覇港にいて、こんなの旅行じゃない」と憤った。女性が利用した旅行会社は本紙に「旅行代金を返金する旨の手紙を客に届けている」と対応状況を説明した。

(社会部・大野亨恭、末吉未空)

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