大阪・関西万博に出展する関西パビリオンの徳島県ブースのイメージ。県の伝統工芸である「藍染」の藍色を基調にしている(徳島県提供)

 通常4100円の商品・サービスが88%引きの500円と言われれば、さまざまなモノの値上がりが相次ぐ昨今、足を止めてみるかもしれない。関心や興味を寄せていた商品・サービスなら、「一度試してみよう」と考える人も現れそうだ。観光客増を図る徳島県が来年度、あのイベント会場で、来場客のハートを揺さぶるキャンペーンを計画している。

 キャンペーンの名称は「くるぞ、万博。いくぞ、徳島。ワンコインキャンペーン」。その名から想像できるように、大阪市此花区の夢洲で2025年4月13日~10月13日に開催される「大阪・関西万博」の会場で実施する。期間中、2820万人の来場が想定されている万博では、徳島県も一員である関西広域連合が諸外国と並び、関西パビリオンを開く。徳島県は兵庫や京都といった8府県とともに一角に出展する。

 県の計画では、パビリオンの徳島ブースを訪れた来場客に公共交通機関で使える交通割引クーポンを配布する。ブースでは、徳島観光の仮想体験を提供する「バーチャル観光コンテンツ」を展開するほか、食や阿波踊り、四国遍路などをテーマにした企画展も予定している。徳島に関心を持った来場客へ割引クーポンを配れば、徳島を訪れたい衝動が高まる――という狙いだ。

徳島県が配布する割引クーポンの比較

 クーポンを使用すれば、徳島県内へのバス料金などが「ワンコイン」の500円となる。クーポンは京阪神と県を結ぶ高速バスのほか、和歌山県と県を結ぶフェリー(徒歩乗船)でも使用できる。正規運賃との差額は県が負担する。県は25年度に関連予算3200万円を支出する予定で、うち2500万円を割り引きの原資とする。徳島県民はキャンペーンの対象外だ。

 徳島市と大阪市を結ぶ高速バスは通常、片道の大人運賃は4100円。大阪市から徳島県南部に位置するバス停である宍喰(海陽町)までだと、大人運賃は5500円なので、91%引きとなる。

 また、韓国・ソウルとの国際定期便も就航している徳島阿波おどり空港(同県松茂町)を利用して万博を訪れる訪日外国人客(インバウンド)には、京阪神との間を1000円で往復できるクーポンを配布する。同空港には12月下旬に香港便も就航予定で、徳島経由で万博へ向かうインバウンドの集客も狙いたい考えだ。

 県万博推進室の担当者は「関西パビリオンの徳島ブースで徳島の魅力を知ってもらったら、徳島にもぜひ足を伸ばしてみてほしい」と呼びかけている。【植松晃一】

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