大阪府警本部

 粉飾した決算書を金融機関に示して不正に融資を受けたとして、大阪府警は5日、いずれも大阪市淀川区に本社を置く清掃会社「ベンリッチ」(破産手続き中)と、コンサルタント会社「エムエスジー」(同)の元社長2人を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。府警は容疑者らが同様の手口で繰り返し不正に融資を受けていた可能性があるとみて、資金の使途解明を進める。

 逮捕されたのは、ベンリッチ元社長の山口博巳(59)=大阪府吹田市=とエムエスジー元社長の平井登(50)=大阪市淀川区=の両容疑者。関係者によると2社はグループ会社で、平井容疑者が2008年ごろからベンリッチに経営を指南していたとされる。

 捜査関係者によると、2人は21年8~9月、ベンリッチの経営が好調で利益を上げられているとする虚偽の決算書を神戸市中央区の金融機関に提出。ベンリッチの事業の運転資金名目で約5000万円を詐取した疑いが持たれている。当時、同社は実際には2億円以上の債務超過に陥っていたとみられる。この金融機関が24年6月に刑事告訴していた。

架空の売り上げ計上か

「ベンリッチ」のホームページ(現在は閉鎖)=アーカイブサイト「ウェイバックマシン」より

 容疑者らは架空の売り上げを計上したり他の金融機関からの借入金を少なく記載したりする方法で、経営実態とは異なる決算書を作成していたとされる。ベンリッチの関係者によると、金融機関からの融資金はほかの金融機関からの借り入れの返済に充てたほか、同社の別のグループ会社の事業資金に流用するなどしていたという。

 平井容疑者は、ベンリッチとは別のグループ会社にも経営コンサルタントとして関わっていたという。逮捕前の毎日新聞の取材にベンリッチの決算を粉飾したことを認め、「経営状態が悪かったのでやった。詐欺という認識はあり、罪の意識を隠すつもりはない」などと話していた。

 ベンリッチは02年設立。家庭用エアコンやキッチンの清掃を手がけていたが業績が低迷し、23年12月に大阪地裁から破産手続き開始決定を受けた。エムエスジーは05年に設立。23年9月に破産開始決定が出されていた。【岩本一希、川地隆史】

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