警視庁=米田堅持撮影

 盗品と知ったうえで銅線を買い取ったとして、警視庁捜査3課は4日、栃木県小山市の金属買い取り業者「祥瑞(しょうずい)」の部長で、中国籍の杜旭容疑者(27)=埼玉県川口市=を盗品等有償譲り受け容疑などで逮捕した。太陽光発電施設などの金属ケーブルの盗難被害は全国で相次いでおり、警察当局は流通先も含め摘発を強化している。

 逮捕容疑は5月26日、タイ人の窃盗グループが会社に持ち込んだ銅線約840メートルを約61万円で買い取ったとしている。警視庁によると杜容疑者は同社で買い取りの査定を担当しており、「盗品と知らなかった」と容疑を否認しているという。

 事件を巡って、警視庁は8~10月、東京都内と群馬県の太陽光発電施設から送電用の銅線ケーブルを盗んだとして、窃盗グループのメンバーとされるタイ国籍の男性7人を窃盗容疑などで逮捕。11月には、グループが銅線を売却していた祥瑞を含む栃木と茨城両県の4業者を盗品等有償譲り受け容疑で栃木県警と家宅捜索していた。

 このグループは関東地方を中心に銅線の窃盗を繰り返し、祥瑞に売却しただけでも約4000万円の利益を得ていたとされる。

 警察庁によると、2023年の全国の金属ケーブル盗は計8916件で、被害総額は約110億円に上る。銅線などの金属くずは、法律で販売者の本人確認が義務づけられていない。盗難が相次ぐ背景には、近年の価格上昇もあるとみられる。【菅健吾】

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