元那覇空港検疫所長の楠井善久さん(78)=那覇市=が渡名喜島や沖永良部島、多良間島・水納島で採取したリュウキュウツヤハナムグリが、コガネムシ研究会の論文誌「KOGANE」で三つの新亜種として発表された。リュウキュウツヤハナムグリの新亜種発見は60年ぶり。外来種の移入によって、他のハナムグリでは固有種と外来種の交雑が多く確認されており、楠井さんは「リュウキュウツヤハナムグリでも将来、亜種の分類ができなくなる可能性があり、その前に亜種を特定したかった」と話している。(社会部・塩入雄一郎)
リュウキュウツヤハナムグリは、九州南端部と琉球列島にかけて生息する体長2センチ程度の固有種。模様や色が島ごとに異なり、六つの亜種がある。これに今回、沖縄、宮古、奄美の3亜種から分かれる形で和名が「渡名喜島」「多良間」「沖永良部島」の3亜種が追加された。
楠井さんは、3亜種の個体を1980~90年代にかけて現地で採取。特徴がそれぞれ元の亜種と模様や色などが異なることから、新亜種の追加を目指してリュウキュウツヤハナムグリの全ての亜種を個体採取して論文を書くことに。2023年1月から大阪府の元教員、越智輝雄さんと一緒に取りかかった。
新亜種のうち「渡名喜島」の学名は、昨年11月に46歳で亡くなった楠井さんの長男優悟さんの名前から「ユウゴイ」と名付けた。1987年、優悟さんと一緒に渡名喜島に行った時に今回の個体を採取したからだ。
「生きてきたことの証しになる。優悟も喜んでいると思う」。楠井さんは静かに語った。
(写図説明)リュウキュウツヤハナムグリの新亜種3種を論文誌「KOGANE」に発表した楠井善久さん=11月22日、那覇市
(写図説明)楠井善久さんが新亜種として発表したリュウキュウハナムグリの(左から)渡名喜島亜種、沖永良部島亜種、多良間亜種(コガネムシ研究会論文誌「KOGANE」より)
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