入札を巡る不祥事で、町民からの信頼を大きく失墜させた福島県の石川町。第三者委員会は、12月3日に新たな入札の在り方を含む報告書をまとめた。町民からは「町民にオープンな入札が出来るようになって欲しい」「平等に、不正が行われないようなシステムを作っていくことが必要」との声が聞かれ、石川町のこれからが注目されている。
<発端は町長関与の官製談合事件>
「このような事件が二度と起こらないように、入札制度に対して求められている競争性・公平性・公正性を担保するような制度を提案したいし提言したい」
石川町の第三者委員会が強調した「再発防止」という言葉。
事の発端は、石川町の塩田金次郎前町長が関与した官製談合事件だ。町が発注した道路工事や認定こども園の造成工事の入札で、業者側に秘密事項の設計額を教えるなどして入札を妨害。さらに見返りに業者側から賄賂を受け取るなどして、懲役2年6カ月・執行猶予5年の判決を受けた。(※12月3日付で刑が確定)
<新たな入札の在り方を提言>
石川町は2024年7月に事件の検証・再発防止に向けた第三者委員会を設置。取りまとめた報告書の中で、事件は「塩田前町長の倫理観などの欠如が直接的な要因」と指摘した上で、新たな入札の在り方などを提言した。
大きなポイントは入札方式の変更。町が事業者を選び入札をさせる方式から、入札に参加する事業者を広く募集する方式を原則にした(※業者数を最低10者以上確保)。参加する事業者を募り、入札の競争をさせることで談合を行いにくくすることが狙いだ。
また談合防止に、業者同士や業者と職員の接触機会を減らし、事務処理の効率化を図る電子入札導入の検討などを求めた。
石川町は、第三者委員会の報告書を12月5日に開かれる議会全員協議会で説明することにしている。
<事件後の入札への対応>
石川町は官製談合事件が発覚した直後の5月から入札の執行を見送った。ただ行政サービスの停滞、混乱を招くことから、暫定措置として入札に参加できる条件や対象を緩和・拡大して認定こども園の整備などを進めている。
一方で、大規模な工事を受注できる町内3つの土木会社が談合していたことが新たに分かり、町は11月に指名停止措置をとった。
<指名競争入札から一般競争入札へ>
指名競争入札では、町が参加する業者を選ぶので、受注可能な業者が少ないと「固定化」し談合を誘発する問題点があると第三者委員会も指摘している。
これに対し一般競争入札は、参加業者が多いと審査事務の負担が増えるなどデメリットがあるが、町の内外から業者を募集することで公平性・公正性の確保を最優先したといえる。
再発防止策については、このほかにも「過去の入札の検証や入札制度を監視する委員会の設置」また「通報者の相談窓口を設置」することなども示されている。
これらの再発防止策で町民の信頼を取り戻すことができるのか?石川町は2025年度から新たな入札制度をスタートさせる予定だ。
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