旭日中綬章を受章し、記者のインタビューに答える作家の辻原登さん=東京都千代田区で2024年4月22日、北山夏帆撮影

 県立神奈川近代文学館(横浜市中区)の館長をこの春まで12年間務めた。充実した資料の整理収蔵、作家の仕事を徹底的に分析した展示に定評がある文学館だ。「県の枠を超え、文化行政に寄与できたことがよかったのではないかと思っています」。受章の理由を笑顔でそう推測した。

 小説家として、多種多様なジャンルの手法を駆使する。歴史ロマン、犯罪小説、サスペンス、教養小説――。表現の領域を広げながら、コンスタントに上質な物語を世に送ってきた。執筆の原動力を問うと、「言葉によって、目には見えない世界をあたかも存在するかのように作ることができます。その面白さに捕まって、離れられません」。明るい声が返ってきた。

 今後の「夢」として、戯曲を書いて小劇場で上演すること、時代を取り込んだ大きな規模のラブロマンスに取り組むことを挙げた。受章に際し「まだまだ書いていなさい、と言っていただいたと受け止めています」と表情を引き締めた。【棚部秀行】

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