分解されにくく、体内に取り込まれると蓄積されやすい有機フッ素化合物(PFAS)が、各地の水道水から一定濃度で検出された。最新の調査では全地点で目標値を下回ったが、住民の健康調査に乗り出した自治体もある。
PFASの一部は発がん性がある可能性が指摘されている。国内では代表的なPFOSの製造・輸入が2010年に禁止され、規制対象が広がっている。
岡山県吉備中央町では20~23年度、東部の浄水場で1リットル当たり800~1400ナノグラムのPFASを検出。国の暫定目標値の最大28倍に達した。町の有識者会議は、取水源の上流に置かれた使用済みの活性炭からPFASが溶け出したことが原因だと分析している。
この浄水場から地域住民約1000人に飲料水が供給されていたが、町は長期間、対応していなかった。PFASの検査は法律で規定がなく、町は「測らなくてもいいと思い、対応していなかった。認識不足だった」と話す。23年に県の保健所に指摘され、水源を別のダムなどに切り替えた。
24年11月からは住民らを対象に、全国で初めて公費による血液検査を行っている。ただ、国内では、血液中の濃度に関する基準がない。住民の血液からPFASが検出された場合について、町は「健康への影響を長期的に見ていくほかない」と話す。
東京都内では近年、地下水のPFASが問題になってきた。20年度には小平市の給水栓で目標値を超え、より高い値が出た水源の井戸について取水を止めた。
都は未把握の地下水汚染を発見するため、都内を260ブロックに分けて網羅的に調査し、汚染が見つかれば井戸水を利用しないよう呼びかけている。水道についても年4回の定期検査を行っており、都の担当者は「データをオープンにし、都民に安心してもらいたい」と話す。
都によると、米軍横田基地(福生市など)で10~12年に計3回、PFASを含む消火剤が漏出した。地下水との関連は不明だが、基地からの汚染を懸念する声も上がっている。【原田啓之、井川加菜美】
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