今月は全国の警察の「指名手配被疑者捜査強化月間」です。現在、全国の警察が指名手配している容疑者は約590人に上ります。宮城県警には、そうした容疑者の顔や特徴を記憶し、雑踏の中から探し出す専門の捜査員がいます。その名は「見当たり捜査員」。捜査活動に密着しました。
指名手配された容疑者たち。今年2月には長野県で発生した銃撃事件で重要指名手配されていた指定暴力団幹部の男が仙台市内で逮捕されました。凶悪事件の容疑者はアパートの1室で人知れず逃亡生活を送っていたのです。
宮城県警には指名手配された容疑者を街の中で探し出す専門の捜査員がいます。仙台市中心部の商店街、その一角に立つ人物。視線の先にいるのは行き交う数多の人たちです。
見当たり捜査員
「『いる』と。『この中にいるんだ。俺が見つけないといけないんだ』という気持ちで見るようにはしています。まぁ根気ですよね」
宮城県警本部刑事部捜査支援分析課追跡捜査係の「見当たり捜査員」です。定点での観察や歩きながら街に溶け込むようにして容疑者を探し出します。
見当たり捜査員
「五感ですね。全部自分の五感を頼りにするんですけれども、特に我々の仕事では『視覚』、『目』。自分で見たもの見た世界というのに一番重きを置いているところではあります」
県警本部の捜査支援分析課。事件・事故の早期解決を目指しスマートフォンの解析や防犯カメラを使った追跡捜査などを専門的に行っています。そこにいるのが「見当たり捜査員」です。
見当たり捜査員
「きょうは新しく来たのが8人です。月曜日なのでちょっと多いです」
見当たり捜査員の1日は毎日更新される指名手配された容疑者の確認から始まります。
「検挙されるのが5人。新しく手配されるのが5人みたいな感じで、毎日5人ずつくらいは入れ替わるイメージですね」
新たに追加された顔写真を切り取り、身長やほくろなどの特徴を書き加えます。その写真を入れるのが…
「指名手配の被疑者の写真がつづられている手帳になります。だいたい500人弱分くらいはあります」
代々、見当たり捜査員に受け継がれてきた手帳です。
「我々には欠かせない仕事道具。同時に宝箱というか、この中にいる人を見つけるんだという感覚なので」
ひとりひとりの顔を覚えるポイントは「目元」。
「髪型とか皮膚の状態とかひげとかそういうのは年が経つごとに変わっていってしまうんですけれども、目元というのは変わりにくいですね」
目元だけが見えるよう切り抜いた紙を使い、500人ほどの顔写真を頭に叩き込みます。
見当たり捜査員
「日々覚えるときも、なるべく写真だっていうふうに見るのではなくて、この人が表情を変えたらどうなるかなとか動いたらどのような見た目なのかなっていうのなるべく想像するようにして、自分の知り合いにいるような感覚で見るようにしています」
刑事を経て見当たり捜査員になって2年目。今年7月には愛知県警が行方を追っていた指名手配の容疑者を仙台市内で見つけ出しました。
見当たり捜査員
「(記憶作業は)昼時間だと1時間以上見ますので、午前と合わせて2時間3時間くらい。1日合計5時間、6時間くらいですかね。我々にしかできないことだと思うので、街中に出てひたすら探すということは。やはり自分の目、自分の感覚、そういったものを信じることですね」
宮城県警に見当たり捜査員が配置されたのは2011年。これまで40人以上の検挙につなげてきました。捜査技術が進歩する中で見当たり捜査の重要性をこう話します。
見当たり捜査員
「見かけで(容疑者か)見分けるのは、ある意味では機械にはできないことでもありますし、長期逃亡している、名前を変えたりしているというのも、アナログな手法であれば見つかる可能性があるというところが違うところなのかなと思います」
デジタル化・機械化が進んでも人にしかできない捜査。
見当たり捜査員(Q見当たり捜査を一言で表すと)
「まぁ根気ですよね。この捜査は自分にしか自分たちにしかできないこと。その任務を仰せつかったからには一人でも多く指名手配対象者を見つけて治安の維持に努めていきたいと思っております」
「必ず見つけ出す」強い信念のもと雑踏に紛れ、粘り強い見当たり捜査を日々、繰り返します。
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