8月に日向灘で起きた地震を受けて初めて発表された南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を巡り、内閣府は26日、当時の防災対応に関する自治体や事業者へのアンケート結果を公表した。臨時情報について十分に認知していたと回答したのは都府県で5割、市町村では2割にとどまり、事前の準備が不十分なまま自治体が対応を迫られた実態が明らかになった。
アンケートは9月から、南海トラフ巨大地震が想定される茨城県から沖縄県にかけての1都2府26県と707市町村を対象に実施。全都府県と571市町村から回答を得た。事業者では、防災上重要な役割を持つ「指定公共機関」に指定されている鉄道会社など69機関と、観光業などの337事業者が回答した。
回答によると、臨時情報の制度や取るべき防災対応について「十分に認知」していたのは都府県で51%に当たる15カ所、市町村では21%の123カ所。指定公共機関でも50%の35機関で、周知体制の課題が浮き彫りになった。臨時情報の発表を受け市町村が実施した取り組みでは「職員等の連絡体制の確保」が463カ所で最多。「備蓄の確認」が311カ所だった。
今後の課題や要望では自治体から「住民や企業が取るべき対応を統一的に示してほしい」などの声が上がったほか、事業者からは訪日外国人向けに多言語で周知すべきだという意見もあった。
この結果を受け、内閣府の担当者は「臨時情報の認知度をまだまだ上げていく必要がある」と話した。今後、研修会を開くなど広報体制の改善を検討するという。【木原真希】
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