愛媛県警の女性警部補が警察手帳を一時紛失する事案があり、県民とみられる人物から警察署に拾得物として届けられた際、対応した警察官が所定の手続きを行っていなかったことが、県警への取材でわかった。どこで見つかったのかも把握できておらず、県警の危機管理意識の低さも問われそうだ。
県警によると、女性警部補が手帳を紛失したのは2024年8月下旬。午後1時半ごろ、公務のため公用車で所属する警察署を出て、同2時15分ごろに手帳がないことに気付いた。車内などを探したが見つからなかったため、同30分に上司に紛失を報告した。午後3時半ごろ、手帳を拾った県民と思われる人から、同署に拾得物として届けられた。
通常、警察が拾得物を受理した場合、届け出た人に氏名や住所、拾得した日時、場所などについて、規定の書類に記入してもらう必要がある。しかし県警によると、今回届け出てくれた人はすぐにその場から立ち去り、拾得した際の詳細を確認することができなかったという。
県警は、所定の手続きをしなかったことについて「口頭で注意したが、重大な過失とは認識していない」として、対応した警察官の処分は検討していない。手帳の悪用は現在のところ確認されておらず、「再発防止に努める」としている。一方、手帳を紛失した女性警部補について、県警は7日付で所属長訓戒の処分とした。
警察庁OBで京都産業大法学部の岡部正勝教授(警察行政法)は「詳しい状況は分からないが、遺失物の取り扱いに関する規則があり、所定の手続き業務をとっていなかったのは問題だ」と指摘。「警察手帳を紛失した者は処分される。それだけ厳格に管理しなければならないものなので、悪用される可能性も考えて拾得場所などの詳細をきちんと把握しておくことが必要だ」と話している。【広瀬晃子】
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