妻殺害の罪に問われている丸山大輔元長野県議の裁判。11月20日も被告人質問が行われました。アリバイ工作とされるパソコンによる原稿作成については供述が曖昧だったこと、妻の保険金などで借金を返済したことなどが明らかになりました。
■妻の実家への借金の返済について
元長野県議の丸山大輔被告(50)。2021年9月、塩尻市の自宅兼酒蔵で妻・希美さん(当時47)の首を何らかの方法で圧迫して殺害した罪に問われています。
11月19日の被告人質問では、事件前後の議員会館と自宅の往復を否定。不倫交際は認めたものの「妻と離婚する気はなかった。頼りになる面もあって、感謝していた」などと話しました。
11月20日は検察側からの質問で始まり、事件後に受け取った妻の預金や保険金で妻の実家への借金の返済に充てていたことが明らかになりました。
検察:
「希美さんの生前には(借金を)返済せず、なぜ事件後から返済をしたのですか?」
被告:
「一つは希美が望んでいたことがあり、一つには私が家計状況を把握しておらず、希美がかなり預金を貯めてくれていて『これならいけるな』と思ったからです。それで借金をそのままにしておけないなと思いました」
検察:
「希美さんは生命保険に入っていましたか?」
被告:
「入っていました」
検察:
「保険金は受け取っていますか?」
被告:
「受け取っています」
検察:
「いくらぐらいですか?」
被告:
「450万くらいでした」
検察:
「JA共済から受け取っていませんか?」
被告:
「それは希美の積み立てです。希美がなくなったことで受け取ったという認識ではなかったです」
検察:
「積み立てが満期になって、そのとき希美さんがなくなっていたから受け取ったということですか?」
被告:
「そうです」
検察:
「いくらくらいですか?」
被告:
「1000万くらいです」
検察:
「JAなどからの希美さんの預金を相続して返済できたのではないですか?」
被告:
「私の認識ではそうではないが、余裕ができた、あったという認識で、まったく関係ないというわけではありません」
■事件前夜の行動について
続いて、事件前夜の質問です。
検察は、議員会館の自室でパソコンを使って原稿を作成していたようにアリバイ工作をしていたと主張しています。
一方、弁護側は「構想がまとまり、就寝した」としています。
丸山被告は11月19日の質問では「どのような準備をしたか覚えていない。何時に寝たかもわからない」と述べました。
11月20日の質問では…
検察:
「(事件前夜に)二次会を中座したのはなぜですか?」
被告:
「切迫した理由はなく、翌日もあるし帰りたいと思ったからです。議員会館で行われていたこともあり、そうできたと思います」
検察:
「(原稿は)何%完成している記憶していますか?」
被告:
「記憶にはないですが、裁判でものを見て言えることしかできませんが、8、9割できていると思います」
検察:
「後の1、2割を完成させる時間はどのくらいですか?」
被告:
「30分もあればできると思います。」
検察:
「もし今加えるなら、どこに何をつけますか?」
被告:
「答弁をもらった箇所にリアクション、自分の言いたいことを書くと思います。出来レースにならないように、作り込むこともあります」
■供述が曖昧なところも
捜査では、パソコンを起動させUSBを挿入してから7時間半にわたり操作していなかったことが判明しています。
しかし、逮捕前、被告は「パソコンで加筆した」「1時間やった」と供述していました。
検察:
「9月28日(事件前夜)の行動がどう調書に書かれていると記憶していますか?」
被告:
「ですんで、事件後部屋で質問をやっていたと話した覚えがあると話しました。パソコンで入力したのかと聞かれ、たぶんそうじゃないかと返しました」
検察:
「調書の記憶はありますか?」
被告:
「あります」
検察:
「どのように記憶していますか?」
被告:
「私がペラペラしゃべっていることが、そんなところです」
検察:
「調書に書かれた『パソコンで加筆した』『語尾を加筆した』など覚えはありますか?」
被告:
「はい」
検察:
「話したのですか?」
被告:
「そうした話をした中でそうであったと思います」
検察:
「『1時間やった』とあるが、これは話しましたか」
被告:
「言っていないです。そうかと聞かれてはいと答えたとおもいます。」
検察:
「覚えていないといえばよかったのではないですか?」
被告:
「そう言ったと思いますがそうなりました」
弁護人から追加質問も…
弁護人:
「質問の原稿が完成していないというのは間違いないですか?」
被告:
「間違いないです」
弁護人:
「当日の朝、作業することは通常ありますか?」
被告:
「当日、作業はします」
弁護人:
「終わっていようがいまいが、作業はしますか?」
被告:
「そうですね」
■裁判長から原稿について質問
裁判長からも原稿について質問がありました。
裁判長:
「29日の早朝、質問原稿は未完成でしたか?」
被告:
「そうです。はっきりと覚えていないが、今の時点で原稿が完成してないので、未完成です」
裁判長:
「29日の朝、やるつもりだったということですか?」
被告:
「控え室でやるつもりだったと思います」
■検察は一般道で塩尻に戻ったと…
また、検察が事件当時、一般道で塩尻に戻ったと指摘する点について被告は、それまでも「20回から30回は一般道で戻ったことがある」と述べました。
裁判長:
「下道で自宅まで帰る理由は何ですか?」
被告:
「その時の気分が主です」
■夫婦関係、不倫相手について
夫婦関係や不倫相手についても聞かれ…
検察:
「不倫当時、周りに知られたらと考えたことはありますか?」
被告:
「国会議員でない限り全国的スクープにならないと思いました」
検察:
「というのはどういうことですか?」
被告:
「ばれるのレベルによると思いますが、大騒ぎにはならないと思いました」
検察:
「離婚すれば議員に影響あるとは思いましたか?」
被告:
「思っていないです。離婚を考えたことがないので」
検察:
「離婚を考えたことがないのはなぜですか?」
被告:
「離婚を考えるほどのものはなかったですね」
検察:
「不倫相手Aさんとの関係について、希美さんのお父さんに、Aと別れると嘘をついていたことに対してどう思っていましたか?」
被告:
「特に問題にならなければいいのかなと思いました」
検察:
「後ろめたい気持ちはなかったですか?」
被告:
「特になかったです」
■裁判長から質問 女性関係、借金
裁判長からは、証拠として提出された平成28年頃までに希美さんが残したとされる覚え書きについての質問も…
裁判長:
「平成27年8月27日の文を読むと、『(被告の)借金に携わる態度がだらしない』という趣旨の内容がありますが、思い当たることはありますか?」
被告:
「あると思います」
裁判長:
「『大輔君より長生きできるつもりだったが、大きな勘違いだった』とあるが、それについて思い当たることはありますか?」
被告:
「全くないです」
裁判長:
「H27年、28年の覚え書きを見ると希美さんは、思い詰められているように感じるが、二人の関係に緊張感があったのではないですか?」
被告:
「女性関係についてはそうでした。金銭関係に関しては苦にしてないと思いました。大もめだったとは思わなかったです」
被告人質問は11月20日で終了しました。
11月26日、遺族の意見陳述と論告求刑が行われます。
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