5月5日は「こどもの日」です。

 子どもの健康と成長を願ってこいのぼりを飾るのがこの時期の日本の風習ですが、最近見かけなくなったと思いませんか。

 こいのぼりは一体どこへいったのでしょうか。

 屋根より高いこいのぼり。

 「子どもたちに実際に泳いでいるこいのぼりを見せられてよかった」(母親)

 5月5日の端午の節句=こどもの日を前に、札幌市南区の定山渓温泉ではこいのぼりが掲げられました。

 そもそもこいのぼりとは江戸時代、男の子が生まれた時に縁起物として、のぼりに鯉を描いて掲げたのが由来とされています。

 子どもの健やかな成長を願うものなのですが…。

 「最近全然、かなりの年数見ていない。(昔は)男の子のいる家はあげていた」

 「やっぱり寂しい。なかなか見ないから」(ともに札幌市民)

 昔に比べて、こいのぼりを見かけなくなったような気がしませんか。

 「こちらが一番ポピュラーな形のこいのぼり。ポールを含めると10万円前後くらいで販売している」(カネイ小川 小川良悟さん)

 札幌で1915年に創業した節句人形の専門店。こいのぼりも扱っています。

 「札幌市内だと多くはなかったかもしれないが、時々こいのぼりを見る機会はあった。昔と比べると(売り上げも)かなり少なくなってきている」(小川さん)

 この店でのこいのぼりの売り上げは、高度成長期の頃をピークに下がり始め、現在買い求めに来る人はあまりいないといいます。そのワケは…。

 「一軒家で住むよりマンションで住む人が多くなってきて、こいのぼりとか吊るすものを(ベランダから)出さないでくださいっていうところがあるとお客様から聞くこともありますね」(小川さん)

 実際に男の子を育てている家庭でも…。

 「こいのぼり、あげてない。マンションなんで」(2歳男児の親)

 少子化が背景にあるものの「マンション住まいであげる場所がない」「庭が狭くてあげられない」という住環境の問題もあります。

 さらに「日本鯉のぼり協会」の渡辺要市会長は、最近の事情をこう指摘します。

 「こいのぼりが外に出ることで、男の子の誕生を知られたくないという人もいる。なんでもかんでも個人情報(保護)と気にしすぎているような気がする」(日本鯉のぼり協会 渡辺要市会長)

 「こいのぼりって外に飾るから外から見えるという意識があるというか…(Q:外からの目線が気になる?)そうですね」(4歳男児の母親)

 こいのぼりは観光地や公共の場所でしか見ることができない、絶滅危惧種のような存在となってしまうのでしょうか…。

 「マンションなので室内に」(男子小学生の母親)

 マンション住まいのためあげられない。そこで最近増えてきているのが室内用のこいのぼりだといいます。

 「かぶとなど内飾りと一緒に横に飾ったり、これだけで飾る人もいる。今、室内こいのぼりが飾りやすいので増えてきている」(小川さん)

 こいのぼりの設置を禁止されていないマンションでは、ベランダ用のものもおすすめだということです。

 「新しく生まれてきたお子さんが健やかに成長してほしいという願いは変わらないので、形は変わっても文化として残っていってもらいたい」(小川さん)

 北海道大樹町で34回目を数える「歴舟川清流鯉のぼり」。

 約500匹のこいのぼりが空を泳ぎます。

 札幌に比べて大樹町ではまだまだこいのぼりを飾る家庭が多いといいますが、町の子どもたちはこのビッグイベントを毎年楽しみにしています。

「(Q:どう、こいのぼり?)いいかんじ」(子ども)

 こいのぼりは子どもたちの成長を見守っています。

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