脳膿瘍と診断後、膿瘍が破れたことに伴う遷延性意識障害、いわゆる植物状態の状態で島田市の病院に1年半あまり入院していた男子中学生が、2024年3月に気管チューブが外れたことで死亡したことを受け、遺族の代理人弁護士が11月18日に会見を開くとともに、病院側を業務上過失致死罪で刑事告訴する方針を明らかにしました。

代理人弁護士によると、男子中学生は13歳だった2022年9月中旬、発熱や吐き気、下半身の脱力といった症状がみられたため、島田市立総合医療センターに救急搬送され、MRI検査の結果、脳膿瘍と診断されました。

当初は翌日に手術を実施する方針が示されたものの、約6時間半後に痙攣が見られるなど容態が急変したため緊急手術が行われましたが、すでに膿瘍が破れた状態で脳浮腫(脳の組織に水分が過剰に溜まることで脳が膨張した状態)が生じたことで、遷延性意識障害、いわゆる植物状態となりました。

このため、以降は人工呼吸器を装着した状態で入院していましたが、2024年3月下旬、人工呼吸器と気管チューブの接続が外れたことで死亡し、解剖の結果、チューブが外れたことによる意識障害が死因であると確認されています。

医療記録からは男子中学生が死亡した当日、午後3時35分の時点ではアラームが鳴っていなかったものの、午後4時8分に医療スタッフが病室へ入った際にはアラームが鳴っていて、看護師が確認したところ気管チューブと人工呼吸器の接続が外れていました。

病院側による遺族への説明では、チューブが外れた原因として(1)午後3時頃にチューブに接続された吸引カテーテルを交換した際に接続が緩かった(2)痰などの拭き取りが不十分だったためチューブが外れやすい状態にあった(3)何らかの重力が掛かったという3つが示されましたが、代理人弁護士は男子中学生が入院していた過去1年半あまりの間に人工呼吸器の接続が外れたことはなかったことを理由に、何らかの重量がかかったことはあり得ないとして、病院側が注意義務を怠ったと主張しています。

また、アラームは病棟のナースセンターでも鳴っていましたが、在室していた看護師2人が病室に向かうことはなく、この点について病院側はナースステーションにおいてアラームの鳴動が常態化していたため、気づいていたものの放置したと説明していて、代理人弁護士はこの点についても注意義務違反の程度は重大と指摘しています。

このため、病院側を業務上過失致死罪で刑事告訴する方針を明らかにしたほか、搬送当時の対応についても、すぐに適切な処置がなされていれば膿瘍が破れることは防げたとして病院側の責任を追及する考えを示した一方、現在のところ、病院側は当時の対応について責任を認めていないということです。

男子中学生の遺族は、代理人弁護士を通じて「今回起きたこと、それに対する病院側の対応は全く納得いくものではない。法的な責任をきちんと取ってほしい」とコメントし、これに対し、島田市立総合医療センターは「相手方の資料を見てからでないとコメントすることはできない」としています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。