今年8月に開催され、約30万人が訪れた大津市の「びわ湖大花火大会」で、大会実行委員会が10日夜、開催に協力した地元住民への感謝を込めた「びわ湖秋花火」を、大会と同じ大津市の大津港沖一帯で初めて開いた。実行委の「短い時間だが、少しでも住民に楽しんでほしい」という思いが託された15分間の花火は地元住民の心に届いたのか。【飯塚りりん】
大会は2023年、新型コロナ禍での中止を経て4年ぶりに開催され、約30万人が訪れた。開催を巡っては、過去の大会から継続してきたゴミや騒音の問題をはじめ、有料観覧席増加に伴う高さ約4メートルの目隠しフェンスの設置拡大などに反発した地元自治連合会から開催反対の決議文が提出され、物議を醸した。実行委は今大会に向けても、複数の自治連合会と協議しながら通常開催を決めた。
そうした経緯もあり、実行委は交通規制などに協力した周辺住民に気軽に花火を楽しんでもらおうと、今回の花火イベント開催を決めた。多数の来場者が集まらないように地元の3学区を対象に自治会を通じた告知にとどめ、SNS(ネット交流サービス)などでの発信は控えたという。
同日、打ち上げられた色とりどりの約500発の花火に、地元住民から「すごい!」「まだ続くの?」といった歓声が響いた。
親子で訪れた同市の森亮佑さん(42)は「近くで見ると湖にも映り、迫力がすごい。夏は人が多い中、子供もいるのでゆっくり見られなかった。(秋に)開催してもらってありがたかった」と感謝し、娘の紗代さん(8)は「すごくきれいだった。来年も来たい」と目を輝かせていた。
花火終了後も湖面を見つめていた同市の板坂民夫さん(61)は「感動しておなかがいっぱい。ずっとここに住んでいるが、昔は目隠しも有料席もなく、自由に湖岸で見ることができた。久々に子供時代に家族と一緒に見た花火を思い出せた」と余韻に浸っていた。
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