松本人志さんは8日、代理人弁護士を通じてコメントを発表し、「裁判を進めることで、これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をおかけすることは避けたいと考えた」と訴訟取り下げの理由を説明した。コメントには「一連の出来事で、長年のファンや関係者らに多大なご迷惑、ご心配をかけたことをおわびします」と謝罪の言葉も盛り込まれ、「どうか今後とも応援してくださいますよう、よろしくお願いします」と呼びかけた。
松本さんは訴訟を進める中で、週刊文春など関係者と協議を継続。「かつて女性らが参加する会合に出席していた」と認めた上で、「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと」などを確認したという。また、訴訟取り下げに関し、関係者との間で金銭の授受は一切なかったとしている。
松本さんが謝罪の意向を示したことを受けて文春は同日、「(松本さんの代理人から)心を痛められた方々に対するおわびを公表したいとの連絡があり、女性らと協議の上、取り下げに同意することにした」とするコメントを出した。
松本さんは1月から芸能活動を休止している。所属事務所の吉本興業は「活動再開については、関係各所と相談の上、決まり次第お知らせする」と発表した。【西本龍太朗】
松本人志さんの裁判を巡る経緯
問題が発覚したのは2023年12月27日発売の週刊文春の記事だった。東京都内のホテルでの食事会で松本さんらと同席した女性2人が同意のない性的行為があったと訴える内容だった。所属する吉本興業は当初、「当該事実は一切なく、名誉を毀損(きそん)するものだ」などと抗議するコメントを発表した。
24年1月8日、吉本興業は「本人から記事に関する裁判に注力したいとの申し入れがあった」として、松本さんが当面の間、芸能活動を休止すると発表。松本さんは自身のネット交流サービス(SNS)で「事実無根なので闘う」などと訴えた。松本さんのレギュラー番組を抱えるテレビ各局は対応に追われた。
同22日、松本さんが提訴。3月28日に第1回口頭弁論が東京地裁であり、松本さん側は、性的行為を強要したという客観的証拠がないという主張と合わせて、「(女性側の)一方的な供述だけを取り上げた極めてずさんな取材活動に基づいている。多数のテレビ番組出演を休止せざるを得なくなるなど筆舌に尽くしがたい精神的損害を受けた」と訴えた。一方、文春側は「女性の証言は真実」などとして全面的に争う姿勢を示していた。
また吉本興業を巡っては、「当該事実は一切ない」などとする当初のコメントに対して「誤解を招いた」「説明責任を果たすべきだ」などの批判が相次いだ。同社は1月24日、「関係者に聞き取り調査をして事実確認を進めるとともに、所属タレントらにハラスメント等に対する意識を高める研修を実施したい」などとしたうえで謝罪のコメントを発表した。
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