中央合同庁舎第2号館に掲げられる警察庁・国家公安委員会の看板=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影

 警察庁は8日、事件に加担するよう脅迫されるなどした「闇バイト」の応募者について、46件の保護措置を取ったと発表した。半数以上が10~20代で、X(ツイッター)に加え、インスタグラムを介して応募したケースも複数あった。

 各地で闇バイトが絡んだ強盗などの事件が相次いでいるため、警察庁は10月18日に応募者や家族を保護すると呼びかけた。46件は7日までの3週間ほどに各地の警察が対応した件数。

 警察庁によると、40代男性はXで「高額収入」との投稿を見て応募し、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」に誘導され、運転免許証の画像などを送信した。

 指示された仕事内容から犯罪だと疑い、断ってアプリを削除。しかし、相手から個人情報が送られてきたうえ、留守番電話に「逃がさない」「自宅に行く」と脅迫するメッセージが残されたため警察に相談した。

 10代女性はインスタグラムで「受け子」「出し子」として働くように指示を受けた。従わずにいると、指示役から電話で脅され、親族の携帯電話にまで着信があったという。

 また捜査関係者によると、東京都内でも闇バイトに関する相談が相次いでいる。男子高校生は面識のない3人の男性と合流し、バールを持って一戸建て住宅に向かうよう指示された。だが4人で相談し、何もせずに立ち去ったという。高校生から相談を受けた先輩の男性が警察署に連絡した。

 警視庁への相談には「お金がもらえると言われ、スマートフォンを契約してしまった」といった内容もあった。指示役からの依頼を断った後、家族に対して「殺す」「金を取り立てに行く」と連絡が来たケースもあり、警視庁は自宅周辺に防犯カメラを設置したり、パトロールしたりするなどの対応を取ったという。

 10月30日に東京都三鷹市であった強盗未遂事件で逮捕された私立大学4年生の佐円(さえん)昌紀容疑者(23)も事件の2日前、自宅のある京都市内の警察署を母親と一緒に訪れ、「怖くなった」と相談していた。

 京都府警は佐円容疑者のスマホから通信アプリ「テレグラム」を削除させ、犯罪に加担しないように指導。保護措置に必要な協力を求めたところ、佐円容疑者は拒んだという。その後に別の闇バイトに応募し、三鷹市の事件に関与したとみられる。【山崎征克、岩崎歩、水谷怜央那】

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