KADOKAWA本社ビル=東京都千代田区で2022年9月5日、吉田航太撮影

 雑誌製作に携わるライターやカメラマンへの報酬を不当に低く設定したとして、公正取引委員会は8日までに、出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)などの下請け法違反(買いたたき)を認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。関係者への取材で判明した。

 KADOKAWAの他に勧告を受けるのは、同社の子会社で生活情報誌などを編集する「KADOKAWA LifeDesign」(東京都千代田区)。公取委はすでに違反内容を通知し、KADOKAWA側は違反を認め、不当に引き下げた差額分の報酬を支払う意向を示している。

 関係者によると、KADOKAWAなどは2023年初め、生活情報誌「レタスクラブ」の記事の執筆や写真撮影を依頼してきた20以上の下請け業者に対し、「23年4月号」掲載分から原稿料や撮影料などを一方的に引き下げたとされる。

 引き下げ率は最大で数十%に達していた。下請け業者はライターやカメラマンなど個人事業主として働くフリーランスが大部分で、契約打ち切りなどを懸念し、要求に従わざるを得なかったとみられる。

 フリーランスの保護を巡っては、11月1日から「フリーランス取引適性化法(フリーランス新法)」が施行されたばかり。施行前の行為は新法の対象外のため、公取委は下請け法を適用した模様だ。フリーランス保護の枠組みが強まる中、改めて厳格な姿勢を示す形となった。

 公取委は10月にも、Vチューバー(バーチャルユーチューバー)の加工作業を巡り、クリエーターらにフリーランスの下請け業者に無償で作業のやり直しを強要したとして、Vチューバーの大手事務所を運営する動画制作・配信会社を下請け法違反で勧告するなど、フリーランスの保護に積極的な姿勢を示してい。る【渡辺暢】

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