寒暖差が大きい今のような時期に、天気予報でよく「朝晩は放射冷却で冷え込みそうです」と耳にすると思います。

「放射冷却」ってなんだろう?につきましては、この下でお伝えしていきたいと思いますが、この「放射冷却」、実は一年中ずっと起きています。

なぜ、秋や春に多く登場するのでしょうか?

まずは… 「放射冷却」、とは?

「放射冷却」を一言でいうと、“モノが熱を外に出して(放射)冷える(冷却)”ことです。熱いお湯が時間とともに冷えていくのも、「放射冷却」が起きているからです。「放射冷却」は特定の時期や時間帯にだけ起こるものではなく、常に起き続けています。

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天気予報で出てくる「放射冷却」は、地表面から宇宙空間への熱の放出を指します。地球は太陽から熱を受け取っていますが、同時に宇宙へも熱の放出を続けています。この“もらう量”と“出す量”のバランスで、地表面付近が暑くなったり涼しくなったりしています。

昼は、太陽から受け取る熱の量が放出する量より多いため気温が上がり、逆に朝や夜は、放出する熱の量のほうが多いため気温が下がります。このため、「朝晩に放射冷却で冷える」ということが起こります。

「放射冷却」が強まるポイントは“晴れ”“風弱い”

「放射冷却」が特に強まるのは、天気が“晴れ”で、さらに“風が弱い”ときです。

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まず、“晴れ”について。
空に雲があると、その雲が“布団”の役割を果たします。地表面からの熱が宇宙空間に逃げにくくなり、冷え込みが弱まります。

続いて、“風が弱い”。
風が強いと、「放射冷却」で地表面付近の空気が冷えても、周辺の暖かい空気と混ざりやすいため、冷え込みが弱くなります。

“晴れ”“風弱い”は年中ある… なぜ秋・春に多く登場?

「放射冷却」が強まる『よく晴れた風の弱い朝晩』は夏にも冬にもあるのに、どうして秋や春に多く天気予報に登場するのでしょうか?

それは“体感のしやすさ”が関係しています。

夏は空気が暖かく気温自体も高いため朝晩の冷え込みを感じにくい季節です。

冬は、空気が冷たく朝晩もぐっと冷え込みますが、冬型の気圧配置(西高東低)などで風が強まる日が多く、こういった日は放射冷却が弱まる上、強く吹く北風の寒さが注目されます。

秋や春は穏やかな日が多く、一日の中で大きな寒暖差がありながら、1カ月単位で見たときの平均気温の変化もとても大きいシーズンです。
「放射冷却」を体感しやすい季節なので、その分、登場回数が増えます。

気象庁データから筆者作成

私はよくやってしまうことですが、日中の暖かさから薄着で出かけて帰りの時間の急な冷え込みで風邪を引くことなどがないよう、“晴れ”て“風の弱い”日は特に、しっかりとした防寒対策をよろしくお願いします。
(執筆:フジテレビ気象センター・川原浩揮)

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