パトカーの赤色灯=曽根田和久撮影

 カンボジアの首都プノンペンを拠点にした日本人グループの特殊詐欺事件で、日本国内の被害は110件、総額10億円に上ることが捜査関係者への取材で判明した。被害者はいずれも高齢女性で、居住地は福岡や兵庫、北海道など29道府県に及ぶという。

 埼玉県警は5日、一連の事件に関与した20~40代の男性29人を詐欺と詐欺未遂容疑で追送検した。いずれも詐欺の電話をかける「かけ子」とみられている。

 捜査関係者によると、追送検容疑は2023年3~9月、介護施設の担当者を名乗り、和歌山市の女性(83)ら96人にカンボジアから電話。「(あなたは)介護施設に優先的に入居する権利を他人に譲渡した」「名義貸しは犯罪」などとうそを伝え、現金計7億6310万円と電子マネー820万円相当をだまし取ったなどとしている。

 このグループを巡っては、日本側からの情報提供でカンボジアの現地当局が23年9月、拠点のアパートを摘発。25人を拘束したほか、100台超の携帯電話や電話をかける際に使ったとみられるメモ、高齢者の個人情報が記載された名簿などを押収した。

 県警は25人を日本に移送して詐欺容疑などで逮捕し、今年1~4月には、すでに帰国していた4人も逮捕。被害の裏付け捜査を続けていた。【安達恒太郎】

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