商店街に書店があることの大切さを語る店長の山下さん=山口県萩市で2024年3月25日午後5時5分、福原英信撮影

 商店街に書店をつくり、町の文化拠点にしようと山口県萩市の田町商店街の有志が「ブックカフェTabito」を開いた。起業を支援した萩ビジネスチャレンジサポートセンター「はぎビズ」によると、市内では長らく新たな書店の開業はなかったという。店長の山下成一さん(63)は「商店街には、本を片手にゆったりできる場所が大切」と語る。

 商店街のある通りは、江戸時代の参勤交代の際に藩主が通ったことから「御成道(おなりみち)」とも呼ばれ、幕末には維新の志士たちも往来したとされる。100を超える店舗でにぎわっていた時期もあるという商店街だが、現在は約50店舗にまで減り、空き店舗も目立つようになった。

 商店街で時計屋を営む山下さんは、約40年前からイベントを開くなどして商店街の活性化に取り組んできた。小学生の頃は、商店街の書店に立ち寄ることが好きだったという。インターネット上でも本を購入できるようになったが「ふらっと本屋に入って、本と巡り合う時間は大切」と強調する。

 「遊びがてら来やすい場所にしたい」と、カフェスペースは併設させる「ブックカフェ」とした。建物は築100年を超える商人宿を改築。古本が中心だが、長門市の本屋と連携して新刊本の予約も受け付けている。山下さんは「本屋は文化。スーパーと同じように生活に必要なものとして、地域に根付いてほしい」と期待を込める。【福原英信】

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