観光客やインバウンドでにぎわいを見せていた北海道千歳市の「千歳アウトレットモール・レラ」が、11月1日で法律上の大規模小売店舗としての営業を終えました。
巨大施設に何が起こっているのでしょうか?
後発の大型アウトレット店との競争激化 4店舗まで減少
「千歳アウトレットモール・レラ」は2024年1月、運営会社がテナントと契約を更新しないことを発表し閉店が相次ぎました。現在残っているのはドーナツ店、保育園、飲食店、おみやげ店の4つだけです。
小売店の合計面積が基準を下回ったため、11月1日で法律上、北海道に届け出が必要な大規模小売店舗ではなくなりました。
最盛期は7か月で300万人来場 しかしコロナ禍で利用客減少
2005年4月、一流ブランドのアウトレット店を集め開業。最盛期には140以上のテナントがひしめく人気で、7か月で300万人が訪れました。
しかし、2010年にオープンした北広島市の「三井アウトレットパーク 札幌北広島」との競争が激化。
また、コロナ禍でインバウンドが激減。いずれは、施設全体が閉鎖されるとみられています。
「なくなると思うと、もっと行っておけば良かったと思う。子どものブロックや人形を買っていた」(千歳市民)
「かつては利用客をたくさん乗せていた。今は北広島市の三井アウトレットパークの方が人出がすごい」(タクシー乗務員)
ラピダス進出で地価上昇率1位の千歳市 なぜ苦戦?
半導体メーカー「ラピダス」進出の影響で地価の上昇率が全国1位となり、人口の増加が予想される千歳市。
JR南千歳駅のすぐそばで、建設中の「ラピダス」の工場から約3kmの好立地なのに苦戦する「千歳アウトレットモール・レラ」。
その理由を、北海道内の不動産や商業施設の運営に詳しい志田真郷さんに聞きました。
「北海道向きでなく、雪で吹きっさらしになる場所を歩く建物になっている。室内で渡り歩くような施設が求められるが、改装しようとすると土地代に加え、収益となるテナント料が高額になってくる」(インフォメーション・システム キャビン 志田 真郷さん)
「ラピダス」の進出は追い風にはならないのでしょうか?
「ラピダスの従業員はこれからやってくるので、住宅需要はまだ爆発していない。いま必要とされているのは、レジデンスのような住宅系の建物」(志田さん)
レラに店舗を構え 「べつばら団子」が有名に
すっかり寂しくなってしまった「千歳アウトレットモール・レラ」。しかし、ここに救われたという夫妻がいます。
「“レラ”に入っていなければ今のこの状況はなかったと思う。われわれ夫婦の中では年を取り時間がたっても、“レラ”という言葉は出てくると思う。忘れることはない」(オフィス ゲン 宮本 弓弦さん)
道の駅などで週末には1日約400本売れるという人気商品「べつばら団子」。
製造から納品まで全てを2人で手がける、宮本弓弦さんとまどかさん夫妻です。
以前は、北海道物産展で全国を飛び回る毎日を送っていました。しかし。
「コロナ禍を機に物産展の仕事は、ほぼなくなってしまった」(宮本 弓弦さん)
ぱったりとなくなった仕事。そんな時「千歳アウトレットモール・レラ」のイベント担当者から声がかかり、店を構えることになったのです。
契約は1年でしたが人気を呼び、この春からは道の駅やスーパーで販売を始めました。夫妻の転機となった場所が姿を消そうとしています。
「たくさんのお客様との出会いがあり、今でもつながっている。思い出がたくさんあって、すごく寂しいです」(オフィス ゲン 宮本 まどかさん)
「千歳アウトレットモール・レラ」の運営会社は残るテナントとの契約がある限り営業を続けるとし、施設の今後については明らかにしていません。
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