2022年3月に宮崎県延岡市の旭化成のグループ会社「カヤク・ジャパン」の工場が爆発し社員1人が死亡した事故で、県警は1日、当時の工場長と火薬製造課長で、いずれも50代の男性幹部ら2人を業務上過失致死容疑で宮崎地検延岡支部に書類送検した。2人は工場や課の保安管理責任者で「適切な管理をしなかったのは間違いない」と容疑を認めているという。
書類送検容疑は22年3月1日午後1時50分ごろ、工場内で貯蔵されていた爆薬の原料「ニトログリセリン」(1910キロ)を適切な温度で管理する注意義務を怠り、何らかの衝撃で大爆発を起こさせ、近くで作業していた黒木大地さん(当時24歳)を爆死させたとしている。
県警によると、ニトログリセリンは完全に液化している15度以上だと状態が安定するため、通常はエアコンを使って貯蔵施設内の温度管理をする。ところが、工場では設備工事のため事故の前日まで生産を停止し電源を落としていた。県警は、これにより空調が利かず、ニトログリセリンの温度が外気で下がったことで状態が不安定となり事故につながったと断定。別の場所で温度管理をしたり予備電源を持ち込んだりすれば事故は防げたと判断した。
カヤク・ジャパンは「亡くなった社員に哀悼の意を表すとともに遺族に心からお悔やみ申し上げる。二度とこのような事故は起こさないよう取り組む」とコメントした。【塩月由香】
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