元社員によるインサイダー取引の疑いが判明したことを受け、謝罪する三井住友信託銀行の大山一也社長=東京都千代田区の同行本店で2024年11月1日午後6時、井口彩撮影

 三井住友信託銀行は1日、元社員が金融商品取引法が禁じるインサイダー取引をしていた疑いが判明したと発表した。同行では調査委員会を設置し、事実関係の確認や原因分析などを進める。大山一也社長は記者会見で「関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 同行によると、不正が疑われるのは元管理職。10月30日に本人から申告があり、自己の利益を図る目的で複数回、不正な取引をしていた疑いが浮上した。既に懲戒解雇したという。

 大山社長は「高い倫理性や自己規律が要求される信託銀行社員が顧客の信頼を損なう法令違反を犯し、社会的存在意義が問われかねない事態であると深刻に受け止めている」と話した。

 社内管理体制としては、インサイダー取引に関する研修を年2回実施するなどしていたといい、大山社長は「当社でもインサイダー防止の教育は徹底していた。本人もその重大性は認識していたと思われる」と述べた。

 インサイダー取引を巡っては10月、証券取引等監視委員会が東京証券取引所の社員や金融庁に出向していた裁判官に対し、株式公開買い付け(TOB)の未公表情報を使って不正に株式の取引をするなどした疑いで強制調査している。【井口彩、竹地広憲】

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